Z世代は「マッチングアプリでの出会い」に疲れてきている

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「マッチングアプリ、もう疲れたかも」

かつては“恋愛革命”とまで言われた出会い系アプリですが、今の若者たちには心理的負担になりつつあるのかもしれません。

北米を中心とした近年の調査で、Z世代(1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代)の若者たちは、画面越しのスワイプ地獄や、いつまでも続くやりとりから、マッチングアプリへの抵抗感が高まっていることが明らかになってきました。

対面での出会いが今後、ふたたび重要性を増してくるかもしれません。

目次

  • マッチングアプリに疲弊するZ世代のリアル
  • 対面での出会い回帰と、Z世代の新しい「つながり」

マッチングアプリに疲弊するZ世代のリアル

物心ついたときから、スマホとSNSが当たり前にあった“デジタルネイティブ世代”であるZ世代。

恋愛や出会いもアプリ経由が当たり前……そう思われがちですが、実際には「もう限界」と感じている若者が増えています。

マッチングアプリを利用する際、多くの人がまず最初に感じるのは「楽しさ」や「ワクワク感」ですが、その新鮮さはすぐに消えてしまうことが多いです。

ひたすらプロフィールをスワイプし、ときには“なりすまし”や“釣りアカウント”に悩まされ、メッセージのやりとりも無限ループに感じられる。

自分が「商品」として見られているような気持ちになる、という声も珍しくありません。

こうしたデジタルな出会いは、「効率的で合理的」と思われがちですが、実際には精神的な負担も大きくなっています。

北米の調査によると、出会いアプリのサブスクリプション数は減少傾向にあり、大手アプリでの人員削減も話題となるほどです。

とくにZ世代では、そもそも人と直接話すことに苦手意識を持つ人が多く、画面越しで始まったやりとりをリアルな関係につなげることが“強いプレッシャー”になりがちです。

また、「いい人がいない」「すぐ既読スルーされる」「何百人とやりとりしても本当に会えるのは一握り」といった“消耗感”が積み重なり、恋愛そのものに無力感を抱く若者も増えています。

対面での出会い回帰と、Z世代の新しい「つながり」

こうした「アプリ疲れ」の反動から、いま欧米を中心に“対面での出会い”が見直され始めています。

ランニングクラブやボードゲームカフェ、スピードデーティング、昼間のイベントなど、リアルな場で偶然の出会いを楽しむ活動が再び人気を集めているのです。

マッチングアプリ大手の「Hinge(ヒンジ)」も、実際に会うきっかけ作りをサポートする社会的活動をスタート。こうした動きは、「顔を合わせて話すことに不安を抱えるZ世代」を意識したものです。

極度にデジタル化された環境では、逆に“リアルな会話”が新鮮に感じられるという現象も見られます。

ただし、対面での出会いが「楽」かというと、決してそうではありません。

コロナパンデミックの影響で思春期を過ごした世代は、「人と話す」「恋愛を始める」というごく基本的なコミュニケーション経験そのものが乏しいまま成人になった人も多いのです。

さらに、Z世代の恋愛観には「傷つくのが怖い」「ゴースティング(突然連絡を絶たれる)されたくない」「浮気や裏切りが不安」といった“慎重さ”も色濃く反映されています。

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Credit: canva

とはいえ、対面の恋愛もハードルが高いのは事実。

「内向的だから」「会話に自信がないから」と悩む若者も多いですが、カウンセラーは「自信は少しずつつけていけるもの」とアドバイスしています。

Z世代がマッチングアプリに「疲れた」と感じている背景には、デジタル化によるコミュニケーションの変化、孤独感の増加、そして「自分らしいつながり」を求める価値観の変化があります。

今後は「マッチングアプリ=当たり前」ではなく、「対面の出会い」や「友達コミュニティ」「趣味の集まり」など、多様な“つながり方”が広がっていくでしょう。

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参考文献

Why in-person dating is making a comeback — and why Gen Z is struggling with it
https://theconversation.com/why-in-person-dating-is-making-a-comeback-and-why-gen-z-is-struggling-with-it-257210

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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