生成AIで銀行・金融業界のDX化!リスクと課題、活用事例を徹底解説

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銀行や証券会社などの金融業界では、システムが複雑で他の業界に比べてDX化が難しいという問題に直面している企業は少なく、IT分野に強い人材が不足しているということもあり、金融業界全体でDX化が大きな課題となっています。

実は、そうした問題は生成AIを活用することで解決できる可能性があります。

この記事では、金融業界における現状や課題について考え、それらの課題が生成AIを活用することで解決できる可能性があることをご紹介します。実際の導入事例についてもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

国内金融業界の現状・課題

銀行や証券会社、保険会社などの金融業界においても、他の業界と同様に少子高齢化社会による人手不足に悩まされている企業は多いです。

それに加えて、金融業界では

  • マイナス金利による収益の低下
  • IT分野に強い人材不足
  • 地方銀行の利用者低下

などといった問題に直面している企業も多く、解決しなければならない問題が山積みです。

しかし、大手銀行や証券会社などを中心にDXが進み、生成AIの導入なども積極的に行っている企業も多く、生成AIを導入したことによって様々な面で恩恵を受けることができています。

こうした背景もあり、金融業界でもDXが進んでいる企業とそうでない企業では格差が広がる可能性があるため、デジタル社会を生き抜くためには、各企業でDXの推進は必須と言えるでしょう。

なお、生成AIの導入について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

生成AIが解決できる金融業界の課題

前述の通り、金融業界に生成AIを導入することで様々な恩恵を受けることができます。では、具体的にどのような恩恵を受けることができるのでしょうか。

次に、生成AIが解決しうる金融業界の課題について見てみましょう。

課題1.2025年の崖

「2025年の崖」とは2018年に経済省が作成した「DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開〜」で提示された言葉のことです。※1

2025年の崖を簡単に説明すると、DX化が進まないままでは、2025年以降には大きな経済損失が生じる可能性があるため、複雑化・ブラックボックス化した既存システムを刷新し、新たなデジタル技術を用いて新たなビジネス・モデルを創出する必要があるという現状を表した表現です。

特に、金融業界では既存システムがブラックボックス化しているため、システムを刷新するのが難しいだけではなく、デジタル分野に強い人材が少ないため、DXが遅れている企業も少なくありません。

しかし、生成AIを使えば知識がなくてもコーディング等ができシステム開発が可能なため、難しいと思われていたDX化を容易に行うことができます。

課題2.マイナス金利による収益低下

銀行や証券会社などの金融業界におけるビジネスモデルとしては、お金に余裕のある個人や企業がお金が必要な人に貸し出して、その貸したお金に対する利子を得ることで収益を出しています。そのため、利子の割合(金利)が高ければ高いほど金融業界が儲かるという仕組みになっています。

しかし、2016年からマイナス金利政策によって金利が下がったことにより、銀行をはじめとする金融業界全体の収益も下がりました。2024年3月には日銀はマイナス金利解除を決め、金利を引き上げたもののまだまだ、業界として不安が残る状況が続いています。

そうした背景もあり、昨今では個人向けのリテール業務で収益増を図っている企業が増えて、営業活動や問い合わせ窓口、業務効率アップのためのRAGなど、生成AIの導入を検討しているケースも少なくありません。

課題3.フィンテック企業の台頭

フィンテック(FinTech)とは、金融を意味するファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を合わせた造語で、キャッシュレス決済や仮想通貨などといった金融サービスとIT技術の組み合わせのことです。そうしたサービスや金融商品を扱う企業はフィンテック企業と呼ばれ、キャッシュレス化が進む近年では金融業界でも特に勢いのある企業といえるでしょう。

そうした流れに遅れないためにも、金融業界全体でIT技術の導入が必須となりますがまだまだIT技術に強い人材がいないのが現状です。

そんな時に活躍するのが生成AIです。金融業界には長年のノウハウがあるため、そのノウハウを生成AI搭載のチャットボットやコーディングツールに組み合わせることで、顧客満足度の向上や新しいサービスの開発の手助けとなるでしょう。

金融業界での生成AI活用事例6選

前述の通り、生成AIを金融業界に導入することで様々な課題を解決することができる可能性があります。もちろん、生成AIの活用方法は様々あるので、先ほどご紹介した使い方以外でも活躍する可能性はあるでしょう。

では、実際に生成AIを導入している金融業界の企業はどのように生成AIを活用しているのでしょうか。次に、生成AIの活用事例について見てみましょう。

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行などを傘下に置く三菱グループのMUFGでは、DX化推進の一環としてMUFG版ChatGPTを開発しました。※2

三菱UFJ銀行で導入済みのマイクロソフトのAzureの基盤上にAzure OpenAI Serviceと連携したアプリを構築することによって、外部に情報が漏れるリスクを最小限に押さえることができます。それによりセキュリティ面の問題を解決することができました。

活用方法も様々で、稟議書の作成アシストや金融レポートの要約、行内手続き照会など、およそ110項目以上の業務で活用されています。

三井住友銀行

三井住友銀行などを傘下に置く三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ )でも、Azure OpenAI Serviceを活用しSMBCグループ専用環境上で作動する AI アシスタントツール「SMBC-GPT」を開発しました。※3

SMBC-GPTの開発には、社員からの「あったらいいな」「こんなことができたらいいな」というような要望を吸い上げながら開発・アップデートされたこともあり、今や2秒に1回利用されるツールへと成長しました。

SMBC-GPTの活用方法としては、専門用語の検索やメールの下地作り、文章の要約や翻訳、プログラミング言語のソースコードの生成など、多岐に渡ります。

みずほ銀行

みずほ銀行などを傘下に置くみずほフィナンシャルグループでも生成AIの開発に力を入れており、様々な業務を想定した生成AIの開発が進んでいます。※4 特に、生成AI活用計画としてPhase1〜3を制定し、グループ全社をあげて生成AIとの接点を創出するための活動に積極的です。

例えば、Phase1では、2023年6月に社内向けテキスト生成AIである「Wiz Chat」を導入し、活用方法を社内SNSに共有。その後、生成AI活用のアイデア創出のための短期プログラムである「アイデアソン」が行われ、社員からアイデアの募集を行いました。

Phase2では、社内データに加え外部の最新データも活用して業務効率化を推進、Phase3ではそれらと社内外のデータを活用してハイパー・パーソナライズド・マーケティングといったお客さまへのサービス向上につなげることを目指しています。

そのほかにも、日本IBMと連携し銀行システムの監視やエラー時の対応を行うことができるシステムを開発するなど、積極的にIT技術を導入しています。※5

佐賀銀行

佐賀銀行でも、Azure OpenAI Serviceを活用して独自のシステムを構築し、入出力情報を適切に管理して入力情報を二次利用されることのない生成AIを開発しました。※6

この生成AIの導入には、システム部・DI本部の若手行員で組成したプロジェクトチームで導入効果の検討からシステム開発まで一貫して行い、ベンダーの力を借りずにプロジェクトチームだけで内製化します。

今後は、佐賀銀行の規定やマニュアルに関する質問への回答やアイディアの創出、文章の要約や翻訳などの機能を構築予定となっています。

静岡銀行

静岡銀行は、株式会社PKSHA Workplaceが提供しているAIツール「PKSHA AI ヘルプデスクfor Microsoft Teams」を導入し、社内における事務手続きの問い合わせ受付や回答の自動化に向けた取り組みを開始しました。※7

生成AIの導入に関する取り組みはそれだけではなく、KPMGコンサルティング株式会社の支援を受けながら、高い専門性や経験が求められる IT 企画業務の高度化・効率化に向け、生成AIを活用した「デジタル CIO」の実証実験も開始しました。※8

これらの取り組みは、DX施策で発生するIT企画部門の負担を軽減するとともに、業務の高度化・効率化を目指し日々研究が進められています。

あいおいニッセイ同和損保

生成AIを利用する際には、情報漏洩や権利の侵害など様々なリスクが存在するため個人で気軽に利用できなかったり、ビジネスへの導入に向けた大きな障壁となっていました。

そうした問題を解決すべく、あいおいニッセイ同和損保は、AI技術開発をグローバルな体制で実現する株式会社Archaicと共同で国内初の「生成AI専用保険」を開発し、2024年3月から提供を開始すると発表しました。※9

保証内容としては、権利の侵害や情報漏洩した際に、負担する様々な費用を負担するという商品となっています。

なお、金融業界で導入されているツールについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

生成AIが時代を変える

これまでご紹介した通り、金融業界においても生成AIの導入が進むことによって、新たなサービスが生まれたり、業務負担を減らしたりすることができるようになりました。もちろん、生成AIが一般的に普及する前からDX化が進み、IT技術が発展したことによってより良い生活を送れるようになりました。

しかし、ChatGPTなどの生成AIは誰でも簡単に利用できるにもかかわらず、今まで思いつかなかったようなアイディアの創出や技術的に難しかったシステム開発などの支援も受けることができます。

これは金融業界に限った話ではないですが、生成AIを活用すれば、誰でも何かを“創る”ということが実現できる世の中になってきているので、生成AIは時代を変えるツールといえるのではないでしょうか。

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