
- Amazon BedrockはAWSのクラウドで生成AIモデルが使えるサービス
- Amazon Bedrockでは、100種類以上の生成AIモデルが使用可能
- Amazon Bedrockでは、モデルのカスタマイズやAIエージェントの作成も可能
Amazon BedrockはAWSの1サービスで、様々な企業のAIモデルを手軽に使えるというものです。
こちらではAmazonやStability AIなど、複数の企業のAIモデルを、AWS上で自由に使えます。具体的には、GPTシリーズやそのライバルClaudeシリーズに加え、画像生成で有名なStable Diffusionも利用可能です。
この記事では、そんなAmazon Bedrockの概要や、AIモデルの利用方法などをご紹介します。最後まで読んだ方は、AWS上で簡単に、有名なAIモデルを動かしたり、自社データを使ってカスタマイズしたりできるようになります。
ぜひ、最後までご覧ください。
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Amazon Bedrockとは
Amazon Bedrock(読み方はアマゾン ベッドロック)は、AWSの生成AIサービスです。このサービスを利用することで、「様々な企業の生成AIモデル(基盤モデル)」を、APIを通じて利用できます。(※1)

そのため、さまざまな生成AIモデルから好きなものを選び、自分のタスクに好きなAIを活用できるようになったのです。AmazonのAIはもちろん、あの「Stable Diffusion」で有名なStability AIのAIモデルも、AWSを通して利用できます。
ちなみに、ここで言う基盤モデルとは、事前学習済みの大規模な生成AIモデルのことです。自社データを用いたファインチューニングやエンベディングによって、様々なカスタマイズも可能になります。
なお、Amazon社内での生成AI活用について詳しく知りたい方は、下記の記事も併せてご確認ください。

Amazon Bedrockでできること
Amazon Bedrockを使えば、以下のようなことが実現できます。

- 主要なAIスタートアップ企業の生成AIモデルを利用する
- 各企業の生成AIモデルを使って生成AIを拡張する
- 各企業の生成AIを自社のデータで学習させられる
- AWSの機能を使用して、自社のアプリケーションに統合する
ここでは、そんなAmazon Bedrockの機能・できることについて、詳しくみていきましょう!
多彩な生成AIモデルのAPI利用
Amazon Bedrockでは、サーバー不要で、AWSのクラウドから各社の生成AIモデル(のAPI)にアクセスできます。

Amazon Bedrockで利用できるプロバイダー(開発元)・AIモデルは下記のとおり多種多様。その種類は、LLM・画像生成AI・動画生成AI等を合わせて100を超えます。(※2)
- AI21 Labs
- Anthropic
- Cohere
- DeepSeek
- Luma AI
- Meta
- Mistral AI
- OpenAI
- Qwen
- Stability AI
- TwelveLabs
- Writer
- Amazon
- その他、新興AIスタートアップのオープンソースモデル
また、Amazon Bedrockは海外リージョン限定で、外部でカスタマイズされたAIモデルのインポート・アクセスにも対応。以上を通して、自社のニーズに合った生成AIモデルが使用可能です。
生成AIモデルのカスタマイズ
Amazon Bedrockは、生成AIモデルの機能拡張・カスタマイズにも対応しています。具体的には、下記のようなことがAWSのクラウド上で可能です。(※3)
- RAG実装・知識の拡張(Amazon Bedrock ナレッジベース)
- モデルのファインチューニング・回答形式の調整
- 生成AIツールと外部データの連携(データオートメーション)
- 生成AIモデルの蒸留
サーバーやGPUを用意する必要がなく、簡単に競合と差別化した生成AIモデルを構築できます。
ガードレール
Amazon Bedrockは、生成AIモデルを外部ユーザーへ公開する際に欠かせないガードレール(回答の検閲機能)も完備。生成AIを活用して、下記のようなことが行えます。(※4)
- 任意のレギュレーションに基づく回答の検閲
- データに基づくハルシネーションの検出
- 有害なテキスト・画像のブロック
こちらは「責任あるAI」が求められる昨今の状況にマッチした機能です。
パフォーマンスの最適化
Amazon Bedrockでは、生成AIモデルのコスト・回答速度の最適化も、下記の機能から可能です。(※5)
- 既出・繰り返しのプロンプトを読み飛ばす「プロンプトキャッシュ」
- プロンプトの作成・評価ができる「プロンプトマネジメント」
- 最適なモデルを自動で選ぶ「インテリジェントプロンプトルーティング」
- 生成AIモデルの蒸留
従量課金制のAPIによってコストを抑えられる点も、大きな魅力です。
外部ツール連携・AIエージェント作成
Amazon Bedrockでは、「Amazon Bedrock エージェント」と「Amazon Bedrock AgentCore」の2機能を通して、AIエージェントの作成・実装も可能。うち、Amazon Bedrock エージェントでは基本的なAIエージェントが、Amazon Bedrock AgentCoreではより高度かつ専門化されたAIエージェントがそれぞれ作れます。(※6、7)
Amazon Bedrockの使い方
まずは、以下の手順に従って、モデルを選ぶ画面まで進みましょう。
- AWSマネジメントコンソール(https://aws.amazon.com/jp/console/)にサインイン
- 「Amazon Bedrock」で検索
- 米国東部(バージニア北部: us-east-1)のリージョンを選択
- 「Get started」をクリック
- 左カラムから「Base models」にアクセス
ここまで行けば、好きな生成AIモデルを利用できます。特定の生成AIモデル、例えば「Claude」にアクセスするためには、用途を申請する必要があります。
また、左カラムの「Playground」では、Chat・Text・ImageのそれぞれのAIモデルを、実際に使って試すことが可能です。例えば、Claude v2を選択して、Chat画面で質問を投げかけることができます。
なお、CohereのサービスCoralについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

Amazon Bedrockの料金体系
Amazon Bedrockでは、以下の実行において、料金がかかります。
- モデルの推論
- カスタマイズ
さらに、それぞれのプラン概要について、以下の表にまとめました。(※8)
| カテゴリ | 機能 | 概要 | 利用料金 |
|---|---|---|---|
| モデルの推論 | オンデマンド・バッチでのAIモデル使用 | ・使用した分だけ支払う ・テキスト生成モデルの場合、入力トークンと出力トークンごとに課金される ・埋め込みモデルの場合、入力トークンごとに課金される ・画像生成モデルの場合、生成された画像ごとに課金される ・複数回の入出力を1回にまとめるバッチモードは通常の半額で使える | モデルによって変動(下記参照) |
| プロビジョンドスループットでのAIモデル使用 | ・特定のベースモデルまたはカスタムモデルのモデルユニットを購入できる ・時間単位で課金される ・1ヶ月または6ヶ月の期間を柔軟に選択できる | モデルによって変動 | |
| レイテンシー最適化 | ・モデルの回答速度を改善できる | モデルによって変動 | |
| Marketplace モデル | ・各自で調達した生成AIモデルが使える ・サーバー等の使用量で課金される | モデルによって変動 | |
| カスタマイズ | Model customization (fine-tuning) | ・自社データを使用して基盤モデルをカスタマイズできる ・テキスト生成モデルの場合、モデルの学習に基づいて課金される | モデルによって変動 |
| プロンプトキャッシュ | ・既出、繰り返しのプロンプトの読み込みを省略できる | モデルによって変動 | |
| プロンプトの管理と最適化 | ・プロンプトのバリエーション作成・テストを効率化できる | 1,000 トークンあたり0.030ドル | |
| インテリジェントプロンプトルーティング | ・プロンプトに応じて最適な品質、コスト、速度の生成AIモデルを自動選択できる | 1,000 件のリクエストあたり1ドル | |
| ガードレール | ・表示させたくない回答を検出して非表示にできる | ・コンテンツフィルター:1,000テキストユニットあたり0.15ドル・1画像あたり0.00075ドル ・トピックの拒否:1,000テキストユニットあたり0.15ドル ・機密情報フィルター :1,000 テキストユニットあたり0.10ドル ・機密情報フィルター(正規表現):無料 ・ワードフィルター:無料 ・ハルシネーションチェック:1,000テキストユニットあたり0.10ドル ・自動推論チェック:1,000テキストユニットあたり0.17ドル/任意のレギュレーション | |
| ナレッジベース | 学習範囲外の知識、独自データをAIモデルに提供できる(RAG) | ・構造化データの取得(SQL生成):1,000クエリあたり2ドル ・Amazon-rerank-v1.0:1,000クエリあたり1ドル | |
| エージェント | ・AIエージェントを作成・実装できる | モデルによって変動 | |
| フロー | ・生成AIモデル、外部ツール、データベース等をシームレスに連携できる | 1,000 ノード遷移あたり0.035ドル | |
| 評価 | ・生成AIモデルの回答を別の生成AIモデルで評価できる ・人間による評価(ヒューマンタスク)も選べる | 入出力はモデル料金に準拠、ヒューマンタスクは1タスクあたり0.21ドル |
具体的な価格や利用できるAIモデルは、選択するAIモデルやプロバイダー、リージョン(地域)によって異なります。「アジアパシフィック(東京)」リージョンで使えるLLMについては、以下の料金表を参考にしてください。(※8)
| プロバイダー | AIモデル | 入力料金(オンデマンド・1,000トークンあたり) | 出力料金(オンデマンド・1,000トークンあたり) | 入力料金(バッチ・1,000トークンあたり) | 出力料金(バッチ・1,000トークンあたり) |
|---|---|---|---|---|---|
| Amazon | Amazon Nova Micro | 0.000042ドル | 0.000168ドル | 0.000021ドル | 0.000084ドル |
| Amazon Nova Lite | 0.000072ドル | 0.000288ドル | 0.000036ドル | 0.000144ドル | |
| Amazon Nova Pro | 0.00096ドル | 0.00384ドル | 0.00048ドル | 0.00192ドル | |
| Anthropic | Claude Sonnet 4.5 | 0.003ドル | 0.015ドル | なし | なし |
| Claude Sonnet 4.5 (ロングコンテキスト) | 0.006ドル | 0.0225ドル | なし | なし | |
| Claude Sonnet 4 | 0.003ドル | 0.015ドル | 0.015ドル | 0.0075ドル | |
| DeepSeek | DeepSeek-V3.1 | 0.000701666ドル | 0.002032411ドル | なし | なし |
| OpenAI | gpt-oss-20b | 0.00008ドル | 0.00036ドル | 0.00004ドル | 0.00018ドル |
| gpt-oss-120b | 0.00018ドル | 0.00073ドル | 0.00009ドル | 0.00036ドル | |
| Qwen | Qwen3 Coder 30B A3B | 0.00018ドル | 0.00073ドル | 0.00009ドル | 0.000365ドル |
| Qwen3 32B | 0.00018ドル | 0.00073ドル | 0.00009ドル | 0.000365ドル | |
| Qwen3 235B A22B 2507 | 0.00027ドル | 0.00106ドル | 0.000135ドル | 0.00053ドル | |
| Qwen3 Coder 480B A35B | 0.00027ドル | 0.00218ドル | 0.00027ドル | 0.00109ドル |
なお、クラウドでの生成AI活用について詳しく知りたい方は、下記の記事も併せてご確認ください。

まとめ
Amazon BedrockはAWSのAIサービスで、様々な企業の生成AIモデルをAPI経由で利用できます。これを利用することで、多岐にわたるAIモデルを選択し、タスクに合わせて活用できます。そんなAmazon Bedrockの主な特徴は、以下のとおりです。
- 主要AIスタートアップの生成AIモデルへのアクセス
- 各企業の生成AIモデルで生成AIの拡張が可能
- 自社データでの学習が可能
- AWSの機能で自社アプリに統合できる
利用可能なAIモデルには、AI21 Labs、Amazon、Anthropic、Cohere、Stability AIのものが含まれ、特定のモデルを使用するための申請が必要です。料金体系は、モデルの推論とカスタマイズの2つの部分で構成され、具体的な料金はモデルやプロバイダーによって異なります。

最後に
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【監修者】田村 洋樹
株式会社WEELの代表取締役として、AI導入支援や生成AIを活用した業務改革を中心に、アドバイザリー・プロジェクトマネジメント・講演活動など多面的な立場で企業を支援している。
これまでに累計25社以上のAIアドバイザリーを担当し、企業向けセミナーや大学講義を通じて、のべ10,000人を超える受講者に対して実践的な知見を提供。上場企業や国立大学などでの登壇実績も多く、日本HP主催「HP Future Ready AI Conference 2024」や、インテル主催「Intel Connection Japan 2024」など、業界を代表するカンファレンスにも登壇している。

