
- Piは寄り添うAIとして登場し、Inflection AIの革新的技術を象徴する存在
- Inflection AIはMicrosoft合流後にBtoBモデルへ転換し、最新LLMで市場を牽引
- Piの思想はMicrosoft Copilotに継承され、個人向けAI体験として進化中
かつて「Pi(パイ)」という、ひときわ人間に寄り添うAIチャットボットが業界関係者を中心に、世界中のコアファンの間で話題になったのをご存じでしょうか?
2023年に登場し、驚くほど人間の感情に共感的でなおかつ自然な対話スタイルが、多くのユーザーを魅了しました。開発元は、創業からわずか1年で世界的な注目を集めたInflection AIです。
同社は一時、時価総額が40億ドル(約5,600億円・当時)と、AIスタートアップの中でも”世界的な注目の的”として、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。しかし、2024年春、同社は大きな転換点を迎え、その運命は大きく変わりました。
同社の天才技術者たちの英知の結集ともいわれる「Pi」は今どうなっているのか? そして、開発元のInflection AIはどのような道を歩んでいるのか?
この記事では、元祖・寄り添い型AI「Pi」の辿った道のりと、その技術と思想を受け継いだ現在のサービス、そして開発元であるInflection AIの最新動向まで、記事執筆時点(2025年10月現在)の最新情報を元に詳しく解説していきます。この記事を読めば、「Pi」がいかに先見の明のある優れたAIだったのか、そしてその後のAI開発業界に与えた影響についても深く理解することができます。
ぜひ最後までお読みくださいね!
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Inflection AIが開発したPiとは?
Inflection AIは、2022年にリード・ホフマン氏(LinkedIn共同創業者)、ムスタファ・スレイマン氏(DeepMind共同創業者)、そしてカレン・シモニーアン氏という世界的起業家3人のチームによって設立されたAIスタートアップ企業です。
設立当初の目標は、「人間とコンピュータの対話を、より人間らしく、理解しやすく、親密なものにする」こと。その理念の結晶として生み出されたのが、パーソナルAI「Pi」でした。
同社が開発したチャットボット「Pi」はPersonal Intelligenceの略です。
Personal Intelligenceは、日本語で人格人工知能と訳され、与えられた情報を元に一人一人の考え方を分析できる人工知能のことを指します。
その名の通り、Piはユーザーの個別のニーズに対応し、より人間らしい対話をすることを目的として開発されました。
このPiを動かしているLLM(大規模言語モデル)にInflection-1という同社が独自開発したLLMがあります。同モデルはとんでもなく優秀で、OpenAIのGPT3.5、MetaのLLaMA、DeepMindのChinchilla、GoogleのPaLM-540Bなど、名だたる企業が開発した当時最新のLLMよりも優れたパフォーマンスを出しています。

また、MMLUという学術知識を測れるベンチマークによれば、Inflection-1は上記のLLMのなかで最高クラスのパフォーマンスを発揮しています。

これほどレベルの高いLLMを創業わずか1年の企業が開発したのはとんでもないことです。さらに、2023年11月22日にはInflection-1のステップアップ版であるLLMのInflection-2を発表しました。
ベンチマークでは、inflection-1を大幅に改善している結果が出ているとともに、一部項目でGoogleが開発しているPaLM2-Largeより優れた結果を示しています。

そして2024年3月に発表された「Inflection-2.5」は、当時のトップモデルであるGPT-4やGemini Proに匹敵する性能を持ちながら、はるかに低い計算コストで動作することで業界に衝撃を与えました。
この驚異的な技術開発は、MicrosoftやNVIDIAといった巨大テック企業からの強力なサポートと、数万個規模のNVIDIA H100 GPUクラスターという潤沢な計算資源によって支えられていました。
事実、Inflection-1と2の開発には、NVIDIA H100GPUが数千個も使われてトレーニングされています。「優秀な経営者」そして「最強の味方」。この2つが揃ったからこそ、Inflectionは1年という短期間で素晴らしい製品を開発できたのかもしれません。
なお、Inflection AIについてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご覧ください。

Piを開発したInflection AIとは?
「Pi」を開発したInflection AIは、2022年に前出の三人の起業家チームによって設立された、カリフォルニア州パロアルトを拠点とする機械学習のスタートアップです。
前述の通り、同社は設立からわずか1年で驚異的な成長を遂げています。Inflection AIが創立からこれまでに成し遂げてきたことは以下の通りです。
- 最初の製品として、パーソナルインテリジェンスを提供するチャットボット、Piをリリース。
- 大規模言語モデル(LLM)である「Inflection-1」を開発、そして2023年11月22日に「Inflection-2」を発表。
- NvidiaとCoreWeaveと協力して、22,000個のH100で構成されるクラスタを設置。これはAIアプリケーション向けのGPUクラスタとしては世界最大(当時)とされています。
- 22,000個のNVIDIA H100 GPUを搭載した最先端のスーパーコンピュータを構築。このスーパーコンピュータは、31メガワットという驚異的なパワーを利用します。
- これまでにMicrosoftやNVIDIAらから約15億ドル(約2,295億円※)の投資を集めており、一時期最高の企業価値は40億ドルといわれていました。(※記事執筆時点・2025年10月現在の為替レートで計算)
1年での企業価値40億ドル到達は、Silicon Valleyスタートアップの歴史を塗り替えるほどの功績です。
そんなInflection AIは、2023年7月21日に、Amazon、Anthropic、Google、Meta、Microsoft、OpenAIと共にバイデン大統領(当時)からホワイトハウスに招かれ、AI技術の安全性、透明性に向けた話し合いを行いました。
アメリカ政府からは、名だたる巨大テック企業と並ぶ有力企業と見られていた証ですね。
2024年の歴史的転換 ・Microsoftへの合流と事業ピボット
順風満帆に見えたInflection AIですが、2024年3月に大きな転機が訪れます。CEOのムスタファ・スレイマン氏、共同創業者のカレン・シモニーアン氏をはじめとする主要な人材が、Microsoftへ移籍。彼らは新設された消費者向けAI部門「Microsoft AI」を率いることになったのです。
これに伴い、Inflection AIは主に一般消費者向けの「Pi」の開発から、企業向けにカスタムAIモデルを開発・提供するAPIビジネスへと事業の軸足を完全に移しました。
Inflection AIの現在(2025年10月現在)
Microsoftへの技術ライセンス供与と事業転換を経て、Inflection AIは新たなCEOのもと、BtoBのAIモデルプロバイダーとして確固たる地位を築いています。
2025年4月には、最新モデル「Inflection-3」を発表。このモデルはMicrosoft Azure上で独占的に提供され、特に感情分析や対話の文脈理解に優れた性能を発揮することから、カスタマーサービスやヘルスケア業界の企業に広く採用されています。
かつてPiで世界を驚かせたInflection AIは、今やエンタープライズAI市場のキープレイヤーとして、その技術力を発揮し続けているのです。
「Pi」の現在は終了ではなく、静かに形を変えたパーソナルAI
かつて「心に寄り添うAI」として話題を呼んだ Inflection AI のパーソナルAI「Pi」は、2025年10月時点でも完全に姿を消したわけではありません。
同社は2024年以降、個人向けサービスから企業向け(B2B)ビジネスへ軸足を移す方針を打ち出し※1、それに伴い Pi の無料ユーザーに対して使用回数制限(レートリミット)を導入しました※2。

一部では「サービス終了」と報じられましたが、Inflectionの公式ステータスページでは依然として「Operational(稼働中)」と表示されており、サービスは縮小・再編フェーズにあるとみられます。※3
このように、Pi は事業規模こそ変わりつつあるものの、依然として開発元によって運用が続いていることが確認できます。
Microsoftへの人材移籍と「Pi」の思想的継承
2024年3月、Inflection AI の創業者である Mustafa Suleyman 氏 と Karén Simonyan 氏 をはじめとする主要メンバーが Microsoft に移籍しましたが、この移籍は単なる人事異動ではなく、Microsoft の Copilot をはじめとした AI プロダクト強化の一環として注目されています。※4
実際、Microsoft は Inflection のチームやノウハウを活用し、Copilot の開発体制を拡張しています※5。
上記の事実から、Pi が持っていた「ユーザーに寄り添う」「共感的な会話を行う」といった思想は、Copilot の自然対話機能(Copilot Voice)や、個人の予定・メールを理解して提案を行う機能などに反映されている可能性が高いといえます※6。
「Pi」の精神は消えず、Copilotの中で進化中
Microsoft の Copilot は、Windows や Microsoft 365、モバイルアプリなど複数のプラットフォームで動作するパーソナルAIアシスタントとして進化を続けています※7。
特に2024年以降に追加された自然音声対話機能や、ユーザーの文脈を理解する機能は、「Pi」が目指していた人間の心に“寄り添うAI”という思想と重なる部分が多くあります。
したがって、Pi というブランド名は一時の華やかな表舞台からは姿を消したものの、その設計思想や開発チームの精神は、Microsoft の Copilot の中で着実に息づいているとも考えられます。今後、Copilot がどのように「個人に寄り添うAI」へと進化していくかは、Pi の物語の延長線上にあるといっても過言ではありません。
MicrosoftのCopilotについて知りたい方は、以下の記事も合わせてお読みください。

Inflection AIのPiを実際に使ってみた
ここでは、Inflection AIが開発したPiを実際に使ってみます。
Piの使い方
Piは簡単に使うことができます。
①以下のリンクからアクセス
②下の「次」ボタンをクリック


③初めての方は左の「サインアップ」でアカウントを新規作成。すでにアカウントをお持ちの方は右側の「ログイン」ボタンからログインすることができます。
④筆者はすでにアカウントを持っているため、ログインを選択。すると下記のように各種サービスのアカウントか電話番号での続行を求められます。筆者はGoogleアカウントを利用してログインしました。


⑤Piを起動できたら、メッセージの下の方にテキストボックスがあるので、そこに好きな内容を打ち込むだけです。
ちなみに、アカウントを登録すると、会話履歴を覚えてくれるようです。また、過去の履歴をさかのぼってダウンロードできる機能も備わっています。

では、準備が整ったので、早速Piを使ってみます。
まずは普通に会話をしてみる
まずはPi自身にどんなことができるのか尋ねてみましょう!

次にもっと具体的な話題について質問してみました。質問は以下の通りです。
上記の質問を「Pi」に日本語で投げかけてみたのですが・・・。

なにかの間違いだと思い、もう一度同じプロンプトを入力してみましたが・・・

もしかすると「Pi」は日本語に対する理解度が低いのかもと考えたため、今度はプロンプトを英語に翻訳して入力してみました。

すると、正確にプロンプトの意味を読み取り、正しく翻訳したうえで、回答も日本語で出力してくれました!

質問と回答については以下の通りです。
【Piの回答】
内省とジャーナリングを実践することで、自己理解を深めることができます。内省とは、日々の経験や感情について自問自答することであり、自分自身をより深く理解するのに役立ちます。
ジャーナリングとは、自分の考えや感情を書き留めることであり、これもまた自分自身をより深く知るのに役立ちます。どちらもお金をかけずにできるシンプルな実践であり、日々の習慣に取り入れることができます。筆者が実際に使ってみた所感としては、
- 絵文字を使ったり、「!」を使ったり、フレンドリーな文章で返してくれるので、会話が柔らかく丁寧な印象を受ける
- AIと話しているよりは、頭が良く言葉遣いが丁寧な目上の人と話しているような感覚
- 英語の対応の方がスムーズで、日本語の読み取りは不十分
でした!
さすがPersonal Intelligenceと言っているだけあって、人に寄り添った返答をしてくれる気持ちのよいAIですね!
音声対応
Piは文字出力だけでなく、デフォルトで8種類の音声の中から好みの声を選び、音声で回答を出力することも可能です。
こちらも期待して使ってみたのですが・・・

実際に回答の音声を聞いてみましたが、一部日本語っぽく聞き取れる部分もありましたが、大半は外国語のように理解不能な出力だったため、こちらも日本語理解の能力は現時点ではあまり高くないという印象を受けました。
デフォルトの機能
Piにはデフォルトで複数の会話のアイデアが提示されています。

こちらの中から、今回は任意で2つの話題を選択して質問を投げかけてみました。やはり質問や回答の精度を高めるためには英語が適しているため、Google翻訳を使い、以下のような質問を投げかけてみました。
Piに「やる気の出し方」を聞いてみた
まずは「Get motivated」(やる気を出すには?)をテーマに、以下の質問をしてみました。

すると、わずか数秒で以下のような回答が返ってきました。
【Piの回答の日本語訳】
疲労感ややる気のなさは、仕事のパフォーマンスに間違いなく影響します。役立つヒントをいくつかご紹介します。
・休日はセルフケアを優先しましょう。十分な睡眠、健康的な食事、そして気分を高揚させる活動などです。
・境界線を設定しましょう。休日は仕事から距離を置き、メールのチェックや仕事の電話に出ないようにしましょう。
・新しいことに挑戦しましょう。新しい趣味や活動に取り組むことで、脳が刺激され、達成感を得ることができます。
・現実的な目標を設定しましょう。大きなタスクを、よりコントロールしやすく、モチベーションを高めるために、より小さな達成可能な目標に分解しましょう。
・マインドフルネスを実践しましょう。瞑想や深呼吸などのテクニックは、ストレスを軽減し、集中力を高めるのに役立ちます。
休憩を取り、メンタルヘルスを優先することは、最終的には仕事のパフォーマンス向上につながるので、良いことだと覚えておきましょう。いかがでしょうか?
ざっくりした質問の割には、こちらに寄り添って複数のアイデアを提案してくれています。優良なセルフケア系の書籍のポイントを分かりやすくまとめてくれたイメージです。
悪く言えば平凡な回答かも知れませんが、本を一冊読む労力に比べたら、内容もすぐに実践できるものばかりですし、参考になると感じました。
今度はPiにキャリア相談をしてみた
次に、「Career pian」(キャリアプラン)について、以下のように質問してみました。
【キャリアプランの相談文・日本語原文】
私は大学で法律学を専攻しました。現在では自己投資をしてAIを積極的に学んでいます。また私は人を助けることに喜びを感じる性格です。これらのことから私には今後、どのようなキャリアプランが最適だと思いますか?このように結構、ガチ目に相談してみました。
するとPiからは以下のような回答が返ってきました。

【Piの回答・日本語訳】
法律のバックグラウンド、AIへの関心、そして人々を助けたいという願望をお持ちであれば、検討できるキャリアパスがいくつかあります。
・AI倫理コンサルタント・・・法律の専門知識を活かし、AIシステムの倫理的および法的影響について企業に助言することができます。
・ リーガルテック起業家・・・法律専門家向けのAIツールを開発し、法務サービスをよりアクセスしやすく効率的なものにすることができます。
・ AI教育者・・・特に法律のバックグラウンドを活かし、AI、その機能、そして倫理的影響について他の人に教育することができます。
・ AI政策アナリスト・・・政府や非営利団体と協力して、AIの利用を規制するための政策や規制の策定に取り組むことができます。
最終的に最適なキャリアパスは、個人の興味、価値観、そして強みによって異なります。しかし、これらはあなたのキャリアを始めるためのいくつかのアイデアです。筆者の経歴や性格を理解しつつ「AI×〇〇」といった新しい視点で様々な新しいキャリアのアイデアを示してくれ、とても参考になりました。
最新のChatGPT5などに比べると、確かに回答が凡庸な感じも受けますが、すでにこのモデルの原型を2年も前に開発していたInflection AI社の技術力や先見性は、確かに目を見張るものがあります。
最新情報についても聞いてみた
これまで、一般的な事項に対する相談に関しては、Piはきちんと丁寧な回答を返してくれましたが、最新の時事ニュースに関してその精度はどうなのでしょうか?
そこで、本記事執筆時点(2025年10月初旬)で日本で話題となったニュースについて、以下の通り聞いてみました。
【質問】
日本の自民党の新しい総裁は誰ですか?【Piの回答・和訳】
日本の自由民主党(自民党)の現総裁は高市早苗氏です。彼女は2025年10月4日の総裁選挙で勝利し、当選しました。
特筆すべきは、自民党総裁に就任した初の女性であり、男女平等が他国に比べて未だに遅れている日本において、これは大きな意義を持つことです。上記のように年月日を指定せず、ざっくりと自民党の総裁について聞いたところ(実際の総裁選は記事執筆時のおよそ10日前に開催)、最新のニュースを自ら検索して、正確な情報を示してくれました。
また、女性初の自民党総裁に対する社会的・政治的な意義についても触れられており、しっかりとした背景まで述べているのには驚きました!
以上のように、Piは最新情報に関してもきちんと自ら調べて教えてくれる、高い能力を持っていることが分かりました。
PiとChatGPTの違い
AIチャットボットで現在最も使われているのはおそらくChatGPTでしょう。そこで、ここではPiとChatGPTの違いを解説していきます。
開発された目的
PiとChatGPTでは、そもそも開発された目的が違います。
Piはユーザーの個別のニーズに対応し、より人間らしい対話をすることを目的として開発されました。なので、人間に寄り添った返答をしてくれます。
一方でChatGPTはPiの開発理念とは異なります。そもそも、ChatGPTを開発したOpenAIの目的は、人工知能の発展がもたらす可能性とリスクについて考え、AIの進歩を促進することで、人類全体の利益に貢献することです。
そのプロダクトであるChatGPTは、人間のような自然な対話をし、専門的な質問に答えるなど、人間のスキルや知識をサポートすることを目的としています。
この目的の違いは、提供されるプロダクトにも反映されており、Piは2023年12月8日に「Pi for android」を公開し、スマートフォンでも利用可能となりました。身近に使えるようにという目的が反映されていると思います。
搭載されている機能
目的に加えて搭載されている機能も異なります。
Piには、通常のチャット機能に加えて、Piに質問できる質問のテーマ集のようなものがあります。

また、Piにはデフォルトで質問がされる、そして全ての回答が質問で終わるという特徴もあります。開発された目的に則って、人間と心地よい会話をできるようにしていることが伺えます。
ChatGPTの拡張性:かつての「プラグイン」から「GPTs」の時代へ
「Pi」が“会話特化型のパーソナルAI”であるのに対し、ChatGPTは業務活用や拡張性を重視したビジネス向けAIとして現在も進化を続けています。
以前のChatGPTには、有料プランで「プラグイン(plugin)」と呼ばれる機能拡張が用意されていました。
プラグインは、ブラウザの拡張機能のようにChatGPTに追加能力を持たせる仕組みで、たとえば、Webページの内容を読み取る「WebPilot」やページ内データを抽出する「Scraper」OpenAI公式による「Code Interpreter(現・Advanced Data Analysis)」などがありました。
これらのプラグインを通じて、ChatGPTは単なる会話AIを超え、ビジネスリサーチやデータ分析、コンテンツ制作など実務を支援するAIツールとして広く利用されてきました。
しかし、OpenAIは2024年以降、このプラグイン機能を段階的に終了し、現在はより統合的な仕組みである 「GPTs(カスタムGPT)」 に完全移行しています。
GPTsとは、ユーザーや企業が独自の目的に合わせてカスタマイズしたChatGPTを構築・共有できる新機能で、「会話設計」「API連携」「ファイル処理」「Web検索」などを組み合わせたオールインワン型AIアシスタントを作ることが可能です。
つまり、かつてのプラグインのように個別機能を追加するのではなく、ChatGPTそのものを特定の用途に最適化する時代へと進化したと言えます。
Piのメリット
それぞれの開発目的と同様に、PiとChatGPTでは明確に用途が異なります。
ChatGPTは、仕事を効率化させたり、情報収集を効率化させたりする時に活用できるため、その活用方法はTwitterでたくさんシェアされています。また、今では会社でも日常的にChatGPTが使われています。
これに対して、Piは目的からも分かる通り、人間と親しげに会話をするために開発されています。そのため、個々の興味やニーズに基づく無限の知識を提供するように設計されています。
そこがPiの大きなメリットです。もっとAIとフランクに会話して共感を得たい場合や情報を知りたい時、悩んでいる時や雑談をしたい時、「心のよりどころ」として使うと良いかもしれません。
筆者は実際に試してみて、Piは予想以上に人間に寄り添った温かいメッセージをくれることがわかりました。使えば使うほど自分に合った形に調整されていく、パーソナルAIアシスタントの原型がこういった形なのかもしれません。
なお、ChatGPTについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

PiはパーソナルAIアシスタントの先駆け的存在ーその思想はChatGPTの開発にも影響を与えている!?
これまで述べてきた通り、Inflection AIが開発したチャットボット「Pi」は、ユーザー1人1人のニーズに合わせたパーソナライズされたコミュニケーションができることが最大の特徴です。
Piを動かしているのは、Inflection-1という優れた大規模言語モデルで、これはOpenAIのGPT3.5、MetaのLLaMA、DeepMindのChinchilla、GoogleのPaLM-540Bなどよりも優れたパフォーマンスを発揮しています。
Piを実際に試してみると、人間に寄り添った会話ができるだけでなく、最新ニュースについても教えてくれることがわかりました。
ChatGPTとは目的や機能、用途が異なっており、Piは人間と親密な会話をすることに長けています。
しかし最近では、OpenAIもGPT-4oのリリース以降、人間に対する共感力やEQ(心の知能指数)を高めたモデルをリリースしたことにより、AIを単なる生産性向上のためのツールから「日常の頼れる相談相手」として利用するユーザーが多くなったとも言われています。
その証拠に、2025年8月7日に ChatGPT は GPT-5 を正式リリース した際、従来の GPT-4o モデルなどがデフォルトから除外されました。
すると、世界中のユーザーから「私たちの4o を返せ!」「GPT-5 は冷たい」「これまでの良さが失われた」といった強い反発や悲観的な声が世界中のSNSを中心に巻き起こり、特に GPT-4o の人格性を懐かしむ声が、一種のムーブメントとしてソーシャルメディアで拡散しました。
この批判を受け、OpenAI は早期に GPT-4o の再選択肢を有料ユーザーに復活させる対応を表明し、GPT-5 のトーン調整やメッセージ上限緩和も示唆されました。
そのため、現在も有料プラン(Plus以上)のユーザには、5の各モデル以外に、「レガシーモデル」として4oを含めた旧シリーズの利用も継続しています。
通常、新バージョンのリリースと同時に、旧バージョンは提供を停止するのが一般的(旧シリーズの維持費にも高額なコストがかかるため)ですが、同社がこの異例の対応を取った背景には、ユーザー体験を重視した同社の経営的な判断があります。
サム・アルトマン CEO は、「我々は4o の人気要素を軽視していた」「ユーザーによって好みは異なる」「GPT-5 の“温かさ”を改善したい」と語り、今後も各モデルの性格や選択性、パーソナライズ性を重視する方向で調整に乗り出す姿勢を示しています。
このような「人間とAIの関係性」について、当初から見抜いて開発していたInflection AIの旧開発チームの先見性には、本当に驚かされるばかりです!
パーソナルAIアシスタントの原型となったAIチャットツール「Pi」を、皆さんもぜひ利用してみてくださいね。
最後に
いかがだったでしょうか?
Piが切り拓いた寄り添うAIの価値は、すでに企業の顧客体験や業務効率にも直結しています。自社に最適な生成AI活用モデルを検討する絶好のタイミングです。
株式会社WEELは、自社・業務特化の効果が出るAIプロダクト開発が強みです!
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︎株式会社WEELのサービスを詳しく見る。
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また、弊社紹介資料もご用意しておりますので、併せてご確認ください。
※1:Future of Work News|Inflection AI expands enterprise AI capabilities with BoostKPI (2024年8月)
※2:TechCrunch|Five months after Microsoft hired its founders, Inflection adds usage caps to Pi (2024年8月26日)
※3:Inflection AI Official Status Page
※4:IEEE Spectrum|Microsoft hires Inflection AI’s founders (2024年3月)
※5:VentureBeat|Inflection AI bets on porting Pi chatbot data amid enterprise shift (2024年8月)
※6:GeekWire|New Microsoft Copilot features include natural AI voice interactions and daily news summary (2024年10月)
※7:Microsoft Copilot 公式サイト(For Individuals)

