米ペンシルベニア州立大学(PSU)の研究チームはこのほど、地球から約18光年の場所に、新たな太陽系外惑星を発見したと報告しました。
発見された系外惑星は「GJ 251c」と呼ばれ、地球のおよそ4倍の質量を持つ「スーパーアース(巨大地球型惑星)」です。
しかも生命の居住に適したハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に位置していました。
研究の詳細は2025年10月3日付で科学雑誌『The Astronomical Journal』に掲載されています。
目次
- 「お隣の恒星系」で見つかったスーパーアース
- 次世代の望遠鏡が「生命のサイン」を捉える日は近い?
「お隣の恒星系」で見つかったスーパーアース
太陽系外惑星――それは私たちの太陽系の外にある、未知の世界です。
これまでに数千個以上もの系外惑星が見つかっていますが、「生命が存在できそうな条件」を兼ね備えたものは、実はほんのわずかしかありません。
その中でも今回見つかった「GJ 251c」は、地球からわずか18光年先という“宇宙的にはほぼ隣町”の距離にあります。
発見したのは、ペンシルベニア州立大学やカリフォルニア大学アーバイン校を含む国際研究チームです。
この惑星が注目を集める最大の理由は、「スーパーアース」と呼ばれる、地球より大きく岩石質の惑星である点にあります。
観測データから推定された質量は地球の約3.8倍。
さらに「GJ 251」という赤色矮星(太陽より小さく暗い恒星)を公転しており、その軌道はまさに恒星のハビタブルゾーン――液体の水が存在しうる領域にぴったり位置していました。
GJ 251は、太陽の約3分の1の質量と直径しか持たない赤色矮星です。
そのためハビタブルゾーンは太陽系よりも恒星に近い位置に形成されます。
GJ 251cの公転周期は約54日と短く、これも小型恒星ならではの特徴です。
惑星の重力による恒星の「わずかな揺れ(ドップラー効果)」を観測することで、その存在が明らかになりました。
観測チームは、20年以上に及ぶデータを蓄積し、まず既知の惑星GJ 251b(こちらは恒星に近すぎて居住不適)の軌道を詳細に分析。
そのうえで新たな「ウォブル(揺れ)」信号を高精度で抽出し、ついに「スーパーアース」GJ 251cの存在を確定しました。
次世代の望遠鏡が「生命のサイン」を捉える日は近い?
科学者たちが系外惑星を発見する最大の理由は、「そこに生命がいるかもしれない」という希望です。
生命の成立に不可欠な条件として、まず「地球のように岩石質であること」と「表面に液体の水が存在しうる適温であること」が挙げられます。
しかし、これら両方を満たし、かつ詳細に調べられるほど近い惑星は驚くほど希少です。
GJ 251cはこのどちらもクリアした上に、距離もごく近いため、今後の直接観測や大気分析の「主役候補」として一気に注目を浴びることとなりました。
現在の観測技術では、GJ 251cの「直径」や「大気組成」までは観測できていません。
しかし今後、30メートル級の新型地上望遠鏡や宇宙望遠鏡が稼働すれば、惑星そのものを直接撮像し、大気の成分――たとえば水蒸気や酸素、さらには生命活動の痕跡物質――を検出できる時代が到来します。
GJ 251cの発見に携わった研究者らは「この惑星は今後10年以内に、地球外生命の“証拠”を直接探るための最有力ターゲットになりうる」と期待を込めて語ります。
GJ 251cにはまだ「大気」や「生命」があるとは確認できていませんが、「今後の探査で必ず注目されるターゲット」であることは間違いありません。
人類はついに、宇宙のすぐ隣で「生命の痕跡」を直接探せるステージに到達しつつあります。
もしこのスーパーアースに、地球と同じような水や空気、そして生命活動が存在していれば、私たちの「孤独な宇宙」のイメージが、大きく塗り替えられる日も近いかもしれません。
参考文献
Scientists Just Found a Super-Earth Exoplanet Only 18 Light-Years Away
https://www.sciencealert.com/scientists-just-found-a-super-earth-exoplanet-only-18-light-years-away
Newly discovered ‘super-Earth’ offers prime target in search for alien life
https://www.psu.edu/news/research/story/newly-discovered-super-earth-offers-prime-target-search-alien-life
元論文
Discovery of a Nearby Habitable Zone Super-Earth Candidate Amenable to Direct Imaging
https://doi.org/10.3847/1538-3881/ae0e20
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

