「人間に車輪を付ければバイクや自転車になるんじゃない?」
そんなバカげた発想を、実際にやってみた大人がいます。
その人は、YouTubeチャンネル「Jake Carlini(ジェイク・カリーニ)」で、色々な手作り発明に挑戦している同名のクリエイターです。
彼は、自分の体をバイクにしてしまう「ウェアラブル電動バイクスーツ」を作り、うつ伏せ(プランク)姿勢のまま地面すれすれで走るという、驚きの実験に挑みました。
目次
- “着る電動バイク”の開発
- 人間バイク男の誕生!時速約32キロで走行
“着る電動バイク”の開発
ことの始まりは、ジェイクさんの電動バイクが壊れてしまったこと。
普通なら「修理しよう」「捨てよう」と考えそうですが、彼は「パーツが使えるなら、自分がバイクになっちゃえばいい」と考えました。
まさに「人間バイク男」のアイデアが生まれた瞬間です。
彼はまず、電動バイクの一番大事な部分、モーター(動力)が入った後ろの車輪を再利用します。
でもこれを自転車のフレームに取り付けてしまえば、別の電動バイクが出来上がるだけです。
彼はモーター付き後輪を自分の足に直接つけるという大胆な方法を選びました。
作業者用のバンドを使って、ふくらはぎとすねにしっかり車輪をくくりつけます。
バイクのバッテリー(電池)は、リュックではなく背中のベストに入れることにします。
しかし重すぎてベストのポケットに入りきらなかったので、ベストの布を切って接着剤で補強し、特製の“バッテリーベスト”を自作しました。
ハンドルも普通の自転車用は使えず、自転車の金属棒や足を乗せるペグ、さらにひじを乗せられるパッドを組み合わせて、両腕を前に突き出して支える特製バーを作りました。
これは自転車の前についている、前腕を乗せて体重を支えられるバーのようなものです。
さらに、アクセルやスピードメーターも工夫して配線。
スイッチ類は腕やベストに設置して、まさに体そのものがバイクになるようにまとめました。
こうして出来上がったのは、「着る電動バイク」です。
では、実際にどのように走行するのでしょうか。次項では動画も掲載しています。
人間バイク男の誕生!時速約32キロで走行
着るバイクが形になった後は実際の走行テストです。
もちろん、最初からうまくいったわけではありません。
はじめて試したときは「体幹(お腹や背中の筋肉)がすごく必要で、バランスを取るのがとても難しかった」といいます。
後ろの車輪を支えるバンドが細すぎて、足にすごく負担がかかったので、バンドを広げて足全体で支えるよう改良する必要もありました。
そうした試行錯誤の末、地面すれすれの、まるで「飛行機の離陸前」のような姿勢(プランク)で、時速約32キロ(20マイル)で疾走することに成功しました。
この姿には、ネットやYouTubeのコメント欄も大盛り上がり。
「これはもう新しいヒーローだ」といった驚きや、「毎回ボロボロになりそう」「ブレーキもライトもつけて!」といったユーモラスなツッコミまで、さまざまな声が寄せられました。
さらに「もっと安定させるには前と後ろをワイヤーでつなげばいいのでは?」「ひざで支えれば楽になるはず」など、詳しい人からの改良アドバイスも続出しました。
「人間に車輪をつけたらどうなるの?」
そんな素朴な疑問を本気で形にしたJake Carliniさん。
自分の体でバイクを作り上げたその挑戦は、世界中の人に驚きと笑顔、そして“やってみる勇気”を届けています。
次はどんな発明で私たちを楽しませてくれるのか、期待が膨らみます。
参考文献
wearable electric motorcycle with repurposed bike parts makes users ride while planking
https://www.designboom.com/technology/wearable-electric-motorcycle-suit-repurposed-bike-parts-users-ride-planking-jake-carlini-10-02-2025/#
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部