競技会や運動会では選手たちが力を尽くして様々な競技で戦います。
そんなイベントが人型ロボットたちの間でも開かれました。
その名も「World Humanoid Robot Games(世界人型ロボット競技会)」。
2025年8月14日、中国・北京にて、世界で初めての大規模な人型ロボット競技会が開催されました。
このイベントには、世界16カ国から280チームが参加し、500体以上のロボットが集結。
26の種目で熱いバトルを繰り広げました。
人類の未来を映すかのようなこの大会で、特に大きな注目を集めたのが、中国のロボットメーカー「ユニツリー(Unitree)」による圧巻のパフォーマンスでした。
目次
- 世界初の人型ロボット版オリンピック!結果はどうなった?
- 圧巻の4冠!ユニツリー「H1」が見せた実力
世界初の人型ロボット版オリンピック!結果はどうなった?
🇨🇳The 100-meter dash at the World Humanoid Robot Games, Beijing, China#CHINA #ROBOTICS #humanoid #HumanoidRobots pic.twitter.com/vbfJ04OgfF
— CN Wire (@Sino_Market) August 15, 2025
この大会は「オリンピック」のロボット版ともいえる大規模なイベントで、ロボット開発技術の競演ともいえる場でした。
競技は、持久力・敏捷性・バランス・認識能力など、多方面にわたるロボットの性能を測定する内容となっており、種目はなんと26種類に及びました。
たとえば、1500m走や400mリレー、100m障害物競走、立ち幅跳びなどの陸上競技に加えて、サッカーや卓球などの球技もラインナップ。
さらには、ボクシングやダンス、掃除、医薬品の仕分け、資材運搬など、実用性や社会性も問われるプログラムが目白押しです。
参加したロボットたちは最新のAIとセンサー技術を駆使し、それぞれの種目に挑戦しました。
多くのロボットがバランスを崩して転倒する一方で、いくつかの機体は人間と見紛うような自然な動作を見せる場面もありました。
また、競技の模様は現地の観客だけでなく、ライブ配信でも広く公開され、世界中から注目を集めるイベントとなりました。
Boxing bots pack a punch at World Humanoid Robot Games #robot pic.twitter.com/Pf6ljUCb3p
— CGTN (@CGTNOfficial) August 16, 2025
この競技会は単なるエンタメではなく、実用的なロボット技術のショーケースとしての側面も強く、工場作業や災害救助、介護現場などでの将来的な応用が期待されています。
大会全体を見渡すと、まだ発展途中だと感じる部分もありましたが、それでもロボット技術が大きく進歩していることや、これからの可能性をしっかりと感じることができました。
そんな中、あるロボットが特に強い存在感を放っていました。
中国・ユニツリー社のヒューマノイドロボット「H1」です。その詳細な活躍ぶりは、次項で見てみましょう。
圧巻の4冠!ユニツリー「H1」が見せた実力
「World Humanoid Robot Games」において、ユニツリー社は、「1500m走」「400m走」「100m障害物競走」「4×100mリレー」という4種目で金メダルを獲得しました。
特に1500m走では、人型ロボット「H1」のパフォーマンスの高さが話題になっています。
Unitree Strikes Double Gold on Day One🥇🥇🏃
The First World Humanoid Robot Games
Unitree takes first place in all Day-One races
1500m track race — 6:34.40 (Unweighted)
(Unitree H1 humanoid robot — the same model featured in the Spring Festival Gala)
400m track race — 1:28.03… pic.twitter.com/V1BPoNQMMP— Unitree (@UnitreeRobotics) August 15, 2025
軽快なステップでリンクを周回し続け、スムーズかつ安定した動作は、まさに人間に匹敵するレベル。
競技中に転倒するロボットも多い中、H1は一度もバランスを崩さず、6分34秒という記録で堂々の1位に輝きました。
SNSでは「機械の未来を感じた」とのコメントも多数寄せられました。
では、圧巻のパフォーマンスを見せてユニツリーH1とはどんなロボットなのでしょうか。
ユニツリー(Unitree Robotics)は、中国・杭州を拠点とするロボットメーカーで、特に四足歩行ロボット「Go1」シリーズなどで知られています。
今回の主役「H1」は、同社が開発した初の本格的な二足歩行型ヒューマノイドロボット。
身長178cmという人間に近いプロポーションを持ち、脚・腕・胴体を合わせて22の自由度を備えています。
さらに、27の自由度をもち、関節に搭載されたトルクセンサーによって精密で複雑なバランス制御が可能です。
滑らかな歩行や走行が可能で、今回の競技中に達成された最高速度は4.78m/sでした。
なお、次回の「世界人型ロボット競技会」は2026年8月に再び北京で開催される予定とのこと。
技術の進歩によって、より高度な競技や、さらに人間に近い動きが見られるようになるかもしれません。
次の競技会では、どんなロボットが登場するのでしょうか。H1のライバルも気になりますね!
参考文献
Robots awkwardly race, fight and flop around in China’s first World Humanoid Robot Games
https://www.livescience.com/technology/robotics/robots-awkwardly-race-fight-and-flop-around-in-chinas-first-world-humanoid-robot-games
Inaugural World Humanoid Robot Games step into the spotlight
https://www.therobotreport.com/inaugural-world-humanoid-robot-games-step-into-the-spotlight/
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部