AIチャットボットの成功事例18選!導入メリットや上手くいかない原因も解説

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こんな方におすすめ
  • AIチャットボットとは何かを知りたい方
  • AIチャットボットをどう活用すればいいか知りたい方
  • 実際にAIチャットボットを運用されている方

AIチャットボットを導入することで、利用者の疑問を迅速に解決できるだけでなく、担当者の負担を軽減できる効果が期待できます。しかし、漠然と導入するだけでは、思ったような効果が得られず、失敗する可能性が高くなってしまうため、注意が必要です

この記事では、AIチャットボットを導入するメリットや成功事例、失敗事例を詳しく解説していきます。上手く導入することで、業務効率化が図れるため、問い合わせ対応者が付加価値の高い業務に集中できるようになります。

  1. チャットボットとは?
    1. チャットボットの定義と基本機能
    2. 生成AI型・シナリオ型・FAQ型の違い
  2. 注目される背景と導入のメリット
    1. 業務効率化とコスト削減
    2. 顧客満足度と自己解決率の向上
    3. 工数・人件費の削減につながる
    4. 対応時の負担が軽減できる
    5. 脱属人化が目指せる
    6. ユーザーの満足度・CV率向上につながる
  3. 社外向けAIチャットボットの導入成功事例18選
    1. 金融業界
      1. 野村證券
      2. マネーパートナーズ
    2. MILIZE
      1. 損保ジャパン
    3. 医薬品製造業界
      1. 小林製薬
      2. 沢井製薬
    4. アパレル業界
      1. WEGO
      2. ユニクロ
      3. ナノ・ユニバース
    5. 不動産業界
      1. レオパレス21
      2. 野村不動産
    6. 行政
      1. 広島県
      2. 東京都江戸川区
    7. その他業界
      1. JAL
      2. 追手門学院大学
      3. ヤマハ発動機
      4. 東急ハンズ
  4. 導入成功のための5つのポイント
    1. 目的設定とKPI設計
    2. 社内運用体制とプロジェクト推進
    3. 継続的なデータ更新と精度改善
    4. 有人チャットとの切り分け
    5. 導入後のPDCA運用体制
  5. AIチャットボットで考えられる失敗
    1. 十分な回答精度が実現できない
    2. 目的・ニーズを満たせない
    3. 運用が続かない・定着しない
    4. 費用対効果が得られない
  6. おすすめのツール・サービス
    1. 目的別おすすめチャットボット
      1. カスタマーサポート業務
      2. 社内問い合わせ業務
      3. マーケティング業務
    2. 生成AI連携型の最新ツール
  7. AIチャットボットを上手く活用して、業務を効率化させ顧客満足度を上げよう
  8. 最後に

チャットボットとは?

そもそも、チャットボットという言葉自体は知っていても、チャットボットについての知識が曖昧な方もいらっしゃると思うので、まずはチャットボットに関する基礎部分について解説していきます。

チャットボットの定義と基本機能

チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、人の代わりにテキストや音声などで自動的に会話が行えるプログラムのことです。

チャットボットの基本機能を簡単に説明すると、ユーザーが入力した質問や問いかけに対して返答してくれて、問題の解決や情報収集、時には悩みを聞いてくれるなど利用方法も多岐に渡ります。

生成AI型・シナリオ型・FAQ型の違い

チャットボットは大きく分けて、生成AI型・シナリオ型・FAQ型の3つに分けることができます。

それぞれの特徴は下記のとおりです。

  • 生成AI型
    既存のデータや会話履歴などからAIが分析を行い、最適な回答が可能なため、より自然で幅広い会話を行うことができます。
  • シナリオ型
    あらかじめ設定したシナリオに基づき、ユーザーに選択肢を提示するタイプで、質問内容などがある程度決まっている場合に用いられることが多いです。
  • FAQ型
    FAQシステムにチャットボットを組み合わせたタイプのことで、ユーザーからの質問に対し、FAQデータから最適な回答を提示することができます。

このように、それぞれの型に特徴があり利用用途も異なるため、導入する際には自分の利用用途にあったチャットボット選びを行う必要があります。

注目される背景と導入のメリット

昨今、様々な企業でチャットボットの導入が進んでいますが、チャットボットを導入することでどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。

次に、チャットボット導入のメリットについてご紹介します。

業務効率化とコスト削減

チャットボットを活用することで、作業効率を上げながらコスト削減を行うことができます。

例えば、お問い合わせ業務や一時対応受付は、質問や回答の内容をデータ化しやすいこともあり、専門的な知識がなくてもマニュアルがあれば対応できることがほとんどです。

このような業務にチャットボットを導入することで、大勢のユーザーの相手を全て自動で行ってくれるため作業効率が上がり、人件費だけではなく、今まで負担していた通信量なども抑えることができるでしょう。

顧客満足度と自己解決率の向上

チャットボットを導入することで24時間365日稼働することができるので、ユーザーは営業時間外でもいつでも気軽に問い合わせができるため顧客満足度の向上につながります。

また、よくある質問ページなどにチャットボットを導入することで、ユーザーが求めている回答に辿りつきやすくなるため、自己解決率の向上も見込めます。

工数・人件費の削減につながる

AIチャットボットを導入することで、人件費の削減や対応の効率化につながるのが大きなメリットです。AIチャットボットの大きな強みは、24時間365日対応が可能な点です。営業時間外でも問い合わせに応じられるため、従業員の勤務時間に依存しない顧客対応が実現できます。

たとえば、ECサイトでは「注文状況を確認したい」「商品の返品方法を知りたい」といった問い合わせが頻繁に発生します。AIチャットボットが自動で対応することで、オペレーターの業務負担を軽減でき、より重要な対応に集中できる環境を整えられます。

対応時の負担が軽減できる

対応時の負担を軽減しやすくなるのも、AIチャットボット導入のメリットです。多くの企業で発生している問い合わせの中には、内容が似通ったものが数多く含まれています。AIチャットボットを活用すれば、定型的な質問への返答が自動化され、担当者は複雑な問題に注力しやすくなります。

実例では、社内ヘルプデスクでの「パスワードリセット」や「ネットワーク接続」の問い合わせに対して、多くの社員から問い合わせが来ます。これらの対応手順はある程度確立されているため、チャットボットでの対応は可能です。結果、社員の負担が軽減され、全体のサポート品質が向上しているケースも多く、企業の運用負荷を低減させる事例として注目されています。

脱属人化が目指せる

企業のサポート業務では、「特定の担当者でないと対応できない」といった属人化の課題が発生しやすくなります。しかし、AIチャットボットを導入することで、誰が対応しても同じ品質の回答が提供できる環境を構築可能なのがメリットです。

実際の事例では、ナレッジベースと連携させたボットが、誰でも同じ情報を迅速に提供できるようになっており、業務の引き継ぎや人材の入れ替わりにも柔軟に対応可能です。その結果、全社的なサービスレベルの維持が実現され、安定した業務運営が可能となっています。

ユーザーの満足度・CV率向上につながる

問い合わせ対応のスピードが向上すると、ユーザーの満足度が上がり、CV率(コンバージョン率)の向上にもつながります。特に、ECサイトやBtoBサービスでは、問い合わせのレスポンスが遅いと顧客が離れてしまうことが多いため、迅速な対応が求められています。

具体例として、ECサイトでのチャットボットが即時回答を行い、ユーザーがスムーズに商品選択できたケースでは、成約率の向上が確認されています。金融機関や不動産業界でも、契約前の疑問解消に活用され、問い合わせから実際の契約へと結びつく事例が増加中です。こうした取り組みは、企業のブランド信頼性や顧客満足度の向上に直結している状況です。

社外向けAIチャットボットの導入成功事例18選

実際に社外向けにAIチャットボットを導入し、成功した事例を詳しく解説していきます。18個紹介しますので、自社導入への参考になる事例があるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

金融業界

野村證券

野村證券は、日本を代表する証券会社として、個人投資家や法人向けの金融サービスを提供している企業です。​同社は、運営する資産情報メッセージアプリ「Follow UP」のカスタマーサポートにAIチャットボット「Alli」を採用しました。※1

AIチャットボットを導入することによる効果は以下のとおりです。

  • 高い回答精度による、ユーザー自己解決率の向上
  • 問い合わせ対応やFAW運用の少人数化
  • シナリオ解析と案内文言の改善にかかる工数の削減
  • FAQやアプリ回収の検討プロセスの効率化実現

マネーパートナーズ

マネーパートナーズは、FXや証券取引を提供する金融サービス企業です。顧客からの問い合わせ対応を強化するため、AIチャットボットを導入し、取引ルール、手数料、口座開設手続きなどに関する質問に24時間対応できるようにしました。※2

AIチャットボット導入の決め手としては以下のとおりです。

  • お客様自身で入力された文章を解析・学習できる
  • 回答までの時間を短縮できる
  • 継続した利用による回答精度の改善
  • 総合的なユーザーエクスペリエンスや顧客満足度の向上

MILIZE

MILIZEは、金融機関向けにデータ分析・シミュレーションツールを提供する企業です。ChatGPTを活用した次世代金融アドバイスサービスとして、「MILII TALK(β版)」を提供しました。※3

このサービスは、LINEでユーザーからのお金に関する質問に回答できるようになっています。トーク画面に会話形式で質問していくことで、適切な回答をしてくれます。条件を詳しく指定したり、複数の質問は分割して質問したりすることで、より精度の高い回答をしてくれるのが特徴です。

損保ジャパン

損保ジャパンは、日本を代表する損害保険会社であり、顧客からの問い合わせ対応を強化するため、AIチャットボットを導入しました。※4

事故受付から保険金の支払いのご案内までチャットボットで事故対応が完結するのは、大手損害保険会社で初めてのサービスです。

LINE上でチャットボットにより、保険金請求の手続きをナビゲートしてくれるため、都合のよいときに操作しやすいメリットがあります。これにより、24時間365日いつでも迅速な対応が可能となったため、顧客満足度の向上が見込まれます。

医薬品製造業界

小林製薬

小林製薬は、医薬品、衛生用品、健康食品などを製造・販売する日本の大手製薬会社です。​同社は、お客様相談室チャット問い合わせ対応にAIチャットボットとして「MOBI BOT」​を導入しました。※5

もともと、お客様相談室では、FAQサイトのアクセスによるお客様の自己解決率に課題を持っていました。そこでお客様の自己解決率の向上の向上を図るために、チャットボットを導入することに決めたようです。今後は、有人チャットと連携を図り、より多くのお問い合わせにも対応できる予定です。

沢井製薬

沢井製薬は、ジェネリック医薬品の製造・販売を手がける企業で、医療関係者向けの情報提供を迅速化するため、対話型自動応答AIサービスを導入しました。​※6同社のメディカルサイト上で、マスコットキャラクター「ジェネちゃん」を通じて、製品情報やロット番号などの問い合わせに対し、会話形式で回答しています。​導入後、情報検索の時間が約半分に短縮され、医療関係者の負担軽減に貢献しています。

アパレル業界

WEGO

WEGOは、若者向けのファッションブランドとして知られ、オンラインストアの顧客サポート強化を目的に、AIチャットボットを導入しました。​このチャットボットでは、以下のメニューから問い合わせを行えます。

  • 商品・注文について
  • ID・パスワードについて
  • 支払い方法について
  • 返品・キャンセルについてなど

AIチャットボット導入により、利便性の高いスムーズな顧客対応が実現できるとしています。※7

ユニクロ

グローバルに展開するアパレルブランドであるユニクロは、、オンラインストアの顧客サポート強化を目的にAIチャットボットを導入しました。​このチャットボットは、注文確認、配送状況の追跡、返品・交換手続き、在庫確認など、多岐にわたる問い合わせに24時間対応しています。​※8

ナノ・ユニバース

株式会社ナノ・ユニバースは、株式会社空色と協力し、AI技術を活用したチャットボットと有人対応を組み合わせたカスタマーサポート体験の提供を開始しました。※9この取り組みでは、自然言語解析技術を用いたAIが、24時間自動で顧客からの問い合わせに対応します。

ナノ・ユニバースでは、2014年からチャットでのコーディネート相談サービスを開始していました。今回のチャットボット導入により、カスタマーサポート領域まで対応範囲を拡大し、24時間対応を実現することで、さらなる顧客満足度の向上を目指しています。

不動産業界

レオパレス21

​レオパレス21は、入居者からの問い合わせ対応を強化するため、2023年2月27日よりAI音声対話エンジン「PKSHA Voicebot」とAIチャットボット「KARAKURI chatbot」を導入しました。これまでオペレーターによる対応中心だったため、問い合わせが集中すると連絡がつながりにくくなることがありました。しかし、AIチャットボット導入により。24時間365日、迅速かつ正確な対応が可能となり、迅速かつ正確に回答できるようになりました。※​10

野村不動産

株式会社LIFULLと共同で、生成AI技術を活用したチャット型コミュニケーションサービス「ノムコムAIアドバイザー」を開発し、2024年7月30日より不動産情報サイト「ノムコム」で提供を開始しました。 ※11このサービスは、ユーザーとの自然な対話を通じて、物件検索、住宅ローンシミュレーション、学区情報の提供、周辺相場情報の提示、街の提案、間取り図の解説など、多岐にわたる機能を備えています。ユーザーが見落としがちなメリットやデメリットについても知ることができ、よりスムーズな物件選びができる効果をもたらしてくれています。

行政

広島県

広島県では、AIチャットボットを以下の2つのケースで使えるようにしています。

  1. 電子申請手続きに関する質問※12
  2. 行政手続きやサービスに関する一般的な質問※13

どちらも住民からの問い合わせニーズが多い行政分野を中心に回答できるようにしています。現時点で回答できない質問もあるが、対応できるよう継続的な改善を行う予定です。

東京都江戸川区

江戸川区は、2021年9月15日よりAIチャットボットを導入しました。※14届け出や証明手続き、子育て、ゴミ分別などに関する問い合わせに対し、対話形式で自動回答するサービスを開始しています。​住民は24時間いつでも必要な情報を取得でき、区役所の業務時間外でも利用可能となりました。​

その他業界

JAL

JAPAN AIRLINE(JAL)は、日本を代表する航空会社として、国内外の旅客輸送サービスを提供している企業です。よくある質問の機能にAIチャットボットが追加されました。※15

回答できる内容は「購入」「手荷物」「搭乗」「遅延・欠航」のカテゴリのみですが、直接質問を入力することで、回答が載っているページへ誘導してくれます。質問の内容によっては、チャットオペレーターとの応対も可能となっているため、安心して利用できるようになっています。

追手門学院大学

追手門学院大学は、学生の学習支援と利便性向上のため、学習支援AIチャットボットを導入しています。※16履修や休講、補講などの情報は教務課で確認できますが、電話での問い合わせは間違いが生じやすく、個人を特定できないため、応じられないという課題がありました。そこでチャットボットを導入し、24時間365日対応できるようにし、回答の精度情報に努めています。

ヤマハ発動機

ヤマハ発動機は、繁忙期に多数の取引先からの問い合わせが殺到する対策として、AIチャットボットを導入しました。2020年7月に運用を開始し、お客様にとって回答にたどり着きやすいチャットボットを構築できたことで、担当者の負荷を軽減することに成功しました。※17

さらには、24時間365日対応できることで、営業時間外でもお客さまからの問い合わせに対応できる点も大きな強みになっているとのことです。今後は他部署でも使えるようにして、問い合わせ削減に活用していく予定です。

東急ハンズ

DIY用品や生活雑貨を取り扱う小売企業である東急ハンズは、カスタマーサポートの強化を目的にAIチャットボットを導入しました。導入の目的は、問い合わせの多くを占めていた「ログインできない」「パスワードを忘れた」といった内容に対応する工数を減らすためでした。

結果として、毎月900件ほどあった問い合わせ件数は、400件程度まで激減しました。※18この数は前年と比べると50%以上の削減率になるとのことです。今後は、商品への問い合わせ対応をスムーズにする予定です。

なお、無料で生成AIチャットボットを作る方法について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

導入成功のための5つのポイント

ここまで、チャットボットを導入するメリットや導入事例についてご紹介してきましたが、導入するにはまだ不安に思われる方も多いと思います。

しかし、導入を成功させるためのポイントさえ抑えていれば、大きく失敗する確率を減らすことができるので、ここでは導入成功のための5つのポイントについて解説します。

目的設定とKPI設計

チャットボットを導入する際には、目標設定とKPI設計を明確に行う必要があります。

例えば、「チャットボットの導入で問い合わせ件数を〇〇%削減する」といったようにできるだけ明確な目標を立て、その目標を達成するためのKPI設計を立てましょう。

明確な目標設定やKPI設計を怠った場合、チャットボットを導入しても正しい検証や改善を行うことが難しく、最大限に効果を発揮できない場合があるため、導入を成功させるには初期設計が必要不可欠です。

社内運用体制とプロジェクト推進

チャットボットは便利なツールですが、万能というわけではなく定期的なアップデートやメンテナンスが必要となります。

そのため、社内でシナリオやFAQの整備やエラー発生時のメンテナンスを行う人材の確保など、社内の運用体制を整えておく必要があります。

また、導入後のプロジェクト推進のためにも、チャットボットに精通した人材を確保することで、より効率的にチャットボットを活用することができます。

継続的なデータ更新と精度改善

チャットボットは、基本的にあらかじめ設定したシナリオや組み込まれたデータをもとに回答を行います。

そのため、アップデートを行わなければ最新情報を取り込むことができません。また、チャットボットとユーザーとの間でニュアンスが違い、求める回答に辿り着けないユーザーもいるでしょう。

このように、継続的なデータの更新や精度改善を行わなければ、使えないチャットボットを導入していることになり、コストをかけて導入しても逆に顧客満足度を下げてしまう可能性があるため、データの更新と精度改善は必要不可欠です。

有人チャットとの切り分け

チャットボットは、シナリオ通りや事前に回答が準備されている質問に対しての回答を行う分には問題なく対応できますが、新たな不具合や細かい質問などに対応することは難しいです。

そのため、チャットボットで大まかな一次対応を行い、二次対応として有人チャットに切り替えるや、特定の分野の質問に関してはチャットボットを利用せず人による対応をおこなうなど、チャットボットを利用する範囲の切り分けを明確に行うことで、より効果的にチャットボットを利用することが可能です。

導入後のPDCA運用体制

チャットボットは導入して終わりではなく、導入後に定期的なアップデートを行うことで最大限に効果を発揮します。

そのため、導入前に設定した目標やKPI設計に基づき正しく運用できているか、チャットボットの性能を最大限にいかせているのかなど、導入後に効果的にチャットボットを運用するためにPDCAサイクルを回せる運用体制が必要です。

AIチャットボットで考えられる失敗

AIチャットボットを導入するだけでは想定している効果が見込めず、失敗する可能性が高くなります。この章では、実際にAIチャットボットを導入した際に考えられる失敗事例を詳しく解説していきます。この内容を参考にして、成功させましょう!

十分な回答精度が実現できない

AIチャットボットの導入でよくある課題の一つが、回答の精度が期待に達しないケースです。特に、学習データが不足している場合や、専門性の高い質問への対応が難しい場合、ユーザーにとって「使えない」システムになってしまいます。

三豊市(香川県)が提供したAIチャットボットでは、ChatGPTを活用したものの、「適切な回答を生成できない」という問題が発生しました※34。

住民が求める情報を適切に提供できず、一部の質問に対して誤った回答をすることもあったため、導入に失敗したケースと言えます。

目的・ニーズを満たせない

AIチャットボットを導入したものの、ユーザーのニーズを十分に満たせず、結果的に利用されなくなるケースもあります。例えば、単に「問い合わせ対応を自動化したい」という目的だけで導入すると、実際の業務フローに合わず、期待した効果が得られないことがあります。

よくある失敗例は以下のとおりです。

  • ユーザーの質問に的確に回答できないため、結局オペレーター対応が必要になる
  • ボットが意図しない内容を回答してしまい、誤解を招く
  • 企業側の業務フローに組み込めず、社内で活用されない

導入前に確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • ユーザーが何を求めているのか明確にする
  • 企業の業務プロセスに適した機能を持たせる
  • 実際の運用をシミュレーションし、使いやすさを検証する

運用が続かない・定着しない

導入直後は積極的に活用されるものの、次第に運用が停滞し、結局活用されなくなるケースもあります。導入時のサポートが不足している、運用担当者がいない、もしくは更新作業が負担になってしまうと、定着しにくくなります。

運用が続かない・定着しない場合によくある問題点は以下のとおりです。

  • 社内で十分に周知されず、誰も使わなくなる
  • 定期的なメンテナンスが行われず、最新情報に対応できなくなる
  • 導入後の効果測定がされないため、改善につなげられない

定着させるための工夫は以下のとおりです。

  • 運用担当者を決める
  • 利用状況を定期的にチェックし、改善を続ける
  • 社内研修やマニュアルを用意し、使い方を定着させる

費用対効果が得られない

AIチャットボットは便利なツールですが、導入コストと運用コストを考慮せずに導入すると、「思ったより効果が出ない」という結果になりかねません

失敗しやすいポイントは以下のとおりです。

  • 導入費用が高額すぎて、削減できるコストと釣り合わない
  • 運用コスト(データ更新・メンテナンスなど)がかかりすぎる
  • 企業の課題解決につながらず、導入しただけで満足してしまう

費用対効果を最大化するための対策例は以下のとおりです。

  • 目的を明確にし、期待する成果を定義する
  • 初期費用と運用コストを事前に試算し、ROIを計算する
  • スモールスタートで導入し、効果を確認しながら拡張する

なお、生成AIのセキュリティリスクについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

おすすめのツール・サービス

チャットボットの需要拡大により、今やさまざまなチャットボットツールやサービスが提供されています。

しかし、ツールやサービスが多くどのチャットボットを選択したら良いかわからない方も多いかと思うので、ここではおすすめのツールやサービスを紹介します。

目的別おすすめチャットボット

ツール・サービスによってそれぞれの強みがあるため、利用目的に合わせて選ぶことが重要です。

今回は、「カスタマーサポート業務」「社内問い合わせ業務」「マーケティング業務」におすすめなチャットボットを表でご紹介します。

カスタマーサポート業務

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サービス名特徴価格
Chat Plus2万件以上の導入実績があり、料金プランも豊富で6種類の料金プランから選択可能。Chat Plus独自AIによりハルシネーションを制御し、多言語対応など機能も豊富月額1,500円〜
PKSHA Chatbot金融系を中心に100社以上の導入実績がある。ビックデータを活用した辞書データを搭載した自社開発AIエンジンを活用して圧倒的な日本語精度を実現。要問い合わせ
MOBI BOT国内シェアNo1を誇るAIチャットボットでAIやその他システムと柔軟に対応でき、問い合わせ絵対応から手続き処理を自動ができる。要問い合わせ

社内問い合わせ業務

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サービス名特徴価格
PEP新たな業務システムに乗り換える必要がなく、現在利用中のWEBサービスやチャットツールに導入可能。わずか3クリックで会話データの学習が完了する学習支援機能がある。要問い合わせ
PKSHA AI ヘルプデスク普段から利用しているTeamsに窓口を統一し、FAQ・社内ドキュメント(RAG)・有人対応の効果的な業務プロセスを構築することで、ハルシネーションリスクを抑えた上で、効果的なヘルプデスクが構築可能。要問い合わせ
OfficeBot社内文書やマニュアルなどから自動的にFAQが作成可能。会話履歴から継続的に学習することができ、有人対応へのスムーズな引き継ぎ機能も搭載している。要問い合わせ

マーケティング業務

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サービス名特徴価格
zealsLINEやInstagramなどのアプリ上で商品購入やサービス予約が可能。成果報酬型のため、成果が出るまでコストが発生しないので、リスクなく運用ができる。成果報酬型
SincloWEBサイトにタグを1行追加するだけで導入可能で、直感的に操作可能なUI設計が行われているため、簡単に利用できる。サイト訪問者の行動分析や企業特定機能なども兼ね備えている月額10,000円〜
Tebot全てノーコードで直感的に操作が可能なため、誰でも簡単に利用できる。分析機能も豊富で、今まで気づかなかった要望や疑問の見える化を可能にする。月額45,000円〜

生成AI連携型の最新ツール

最後に、生成AI連携型の最新ツールを3つご紹介します。

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サービス名特徴価格
GENIEE CHAT来訪ユーザーの行動すべてを見える化し、一人ひとりのニーズに合わせたオンライン接客が可能で、「FAQボット」「有人チャット」「チャットEFO」など、Webサイト上での接客に欠かせないチャットを用意することができる。月額34,800円〜
Zendesk AIAIエージェントが複雑な問い合わせ対応から受付、対応までを一貫して対応可能。また、エージェントCopilotは、顧客からの返答だけではなく、AIを活用して様々なアクションを実行することができる。月額19ドル〜
AI-FAQボット初めに質問と回答を入力したExcelを用意するだけで設定が完了するため、事前学習が不要。質問や回答に未登録の単語も、2回目以降は内容に沿った回答が出るように自動学習を行う。月額30,000円〜

このように、AIチャットボットサービスは様々ありますが、利用用途にあったサービスを選択することで、業務効率や売上の向上につながるので、AIチャットボットサービス選びは慎重に行いましょう。

AIチャットボットを上手く活用して、業務を効率化させ顧客満足度を上げよう

AIチャットボットを導入することで、問い合わせ対応時間を大幅に効率化でき、担当者の負担を大きく軽減できるメリットがあります。実際の事例として挙げた企業では、AIチャットボットを導入することで利用者が持つ課題を迅速に解決でき、満足度を向上させられるケースが多くありました。

しかし、導入方法を誤ると効果が得られず、費用だけがかかってしまうなどの課題も存在します。導入効果を得るためにも、どの部分から効率化すべきか検討することが重要です。

【AIチャットボットでできること】

  • 工数・人件費の削減につながる
  • 対応時の負担が軽減できる
  • 脱属人化が目指せる
  • ユーザーの満足度・CV率向上につながる
サービス紹介資料

生成系AIの業務活用なら!

・生成系AIを活用したPoC開発

・生成系AIのコンサルティング

・システム間API連携

最後に

いかがだったでしょうか?

「AIチャットボットは、問い合わせ対応の自動化だけでなく、社内ヘルプデスク、営業支援、顧客対応の属人化解消、ナレッジ共有など多様な業務で活用可能です。貴社の課題に合わせた最適な導入方法をご提案します。

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参考記事
tamura

監修者田村 洋樹

株式会社WEELの執行役員として、AI導入支援や生成AIを活用した業務改革を中心に、アドバイザリー・プロジェクトマネジメント・講演活動など多面的な立場で企業を支援している。

これまでに累計25社以上のAIアドバイザリーを担当し、企業向けセミナーや大学講義を通じて、のべ10,000人を超える受講者に対して実践的な知見を提供。上場企業や国立大学などでの登壇実績も多く、日本HP主催「HP Future Ready AI Conference 2024」や、インテル主催「Intel Connection Japan 2024」など、業界を代表するカンファレンスにも登壇している。

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