南アフリカのクルーガー国立公園で、異様な姿をしたキリンが目撃されました。
その個体は通常のキリンとは異なり、体全体が大小のコブに覆われています。
この奇妙な見た目は、動物保護団体Worldwide Vetsの目にも留まり、彼らによって写真が撮影され、SNSで拡散されました。
この写真がFacebookで公開されると、人々の間で「新種のキリンなのか」「突然変異によるものなのか」といった様々な憶測が飛び交いました。
目次
- 南アフリカでコブだらけのキリンが発見される
- キリンをコブだらけにした原因は?
南アフリカでコブだらけのキリンが発見される

発見されたキリンの姿は衝撃的でした。
通常のキリンと同じ長い首と細身の体を持っているものの、その表面には無数の腫瘍のようなコブが広がっていました。
特に首の周りと胴体には大きな突起が目立ち、表面はでこぼことした不規則な形状をしていました。
遠くから見ると、まるで岩のような質感にも見え、皮膚が異常に厚くなっているかのような印象を受けます。
それでもこのキリンは通常通りの動きをしており、群れの中で特に異常な行動を示すことはありませんでした。
食事をとる様子も確認されており、移動もスムーズに行っています。
では、このコブだらけのキリンは、いったいどうしてこのようなことになってしまったのでしょうか。
キリンをコブだらけにした原因は?

キリンに多くのコブが形成されている原因については、詳しい調査が進められている段階です。
それでも専門家たちは、このキリンの体を覆うコブはパピローマウイルスによるものだと考えています。
現在、パピローマウイルスには多くの種が存在していますが、このキリンの原因となったのは、ウシによく見られる「Bovine papillomaviruses (BPV)」の可能性が高いようです。
このウイルスは馬にも感染することで知られています。
BPVに感染すると、写真のキリンのように皮膚にイボが発生するのです。
大きなイボは出血することもあり、これによって二次感染に繋がる可能性もあります。
では、なぜキリンがBPVに感染したのでしょうか。

専門家たちは、ウシツツキ属の鳥が媒介したと考えています。
この鳥は、ウシ、シマウマ、カバ、サイ、キリンなどの大型哺乳類に止まってダニや寄生虫、動物の血液を食べる習性があり、この鳥が動物から動物へとBPVを広げているのです。
この病気は命に関わるものではありませんが、キリンに対しては特定の治療法がなく、見守るしかありません。
ちなみに、キリンにパピローマウイルスが感染するのは初めてではありません。
2007年には同じ地域で2頭のキリンに同じことが起こりました。
この病気は急速に広がる恐れがあるため、2頭は安楽死させられました。
とはいえ現時点では、新しく見つかったコブだらけのキリンを安楽死させる予定はなく、今後も獣医たちにより監視が続けられます。
参考文献
Giraffe Covered In Unusual “Bumps” Spotted In Kruger National Park
https://www.iflscience.com/giraffe-covered-in-unusual-bumps-spotted-in-kruger-national-park-78207
A Bumpy Giraffe
https://www.facebook.com/worldwidevets/posts/pfbid0VukpHya2Ltw972qM1LwA3ajdHL6DTad9QuYam9646ypgVD5Ry1GgkJUoNBG4VaQql
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部