- 問い合わせ増加への対応に悩んでいる
- 限られたリソースで顧客サポートの質を向上させたい
- 社内からの問い合わせ対応の効率化を図りたい
顧客から自社の製品やサービスについての問い合わせが入ると、その対応に多くのリソースが割かれてしまいます。企業の信頼や顧客満足度に関わるため丁寧な対応が必要な一方、本来注力すべき業務に時間を充てられないという課題を抱えている方も多いのではないでしょうか。
近年、生成AIの登場でこの状況を改善できる可能性があります。ChatGPTなどの生成AIは、情報の要約や自然なテキスト生成が得意で、問い合わせ対応の現場では作業の自動化などの事例が増えています。
この記事では、生成AIによるお問い合わせの自動化について、メリットや具体的な事例、注意点まで詳しく解説します。業務効率化に向けた生成AIの導入・活用法が見えてくるでしょう。
ぜひ最後までご覧ください!
生成AIでお問い合わせを自動化
社内外からの問い合わせに対して、必要な情報を短時間で収集・整理し、分かりやすく回答できる体制が理想です。これまでは、人材のスキルや知識に頼っていたり、対応マニュアルを用意したりする例が一般的でした。
しかし、働き方改革の推進やグローバル化が進むビジネス環境において、人材育成やマニュアル整備などのこれまでの手段だけでは幅広い問い合わせに迅速かつ正確に答えるのは難しくなっています。
そこで注目されているのが「生成AIによるお問い合わせの自動化」です。例えば、AIがテキストや音声によるお問い合わせを読み取り、適切な内容を自動で回答することが可能です。
AIモデルによる関連データの迅速な学習と自然な回答文の生成、言語にとらわれない回答など、多様化する問い合わせへの回答に役立つでしょう。
なお、AIチャットボットについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
近年、業務効率化からAIチャットボットを導入する企業が増えてきています。
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お問い合わせ対応を自動化するメリット
問い合わせの対応に生成AIを活用すると、企業と顧客双方にさまざまなメリットがあります。また、顧客だけでなく、社内のやり取りでも上手く活用することで効率化を達成できるはずです。
ここでは、生成AIによる問い合わせ対応自動化の主要なメリットを5つ紹介します。
業務効率の向上
社内外からの問い合わせを人間ではなく生成AIで行えば、従業員を別の作業に充てられます。少子高齢化社会における人材難への適応や働き方改革などが求められる中、企業はあらゆる場面で効率化を図らなくてはなりません。
新しい人材を雇って社内情報や製品・サービス情報を学び、迅速に要点を説明できるようになるには長い時間がかかります。
しかしAIは、人間よりはるかに速いスピードで学習でき、要約も得意です。人間にしかできない仕事に人材を投入すれば、企業全体の業務効率向上につながるでしょう。
ナレッジの蓄積
顧客から問い合わせが入る理由は、使い方などの製品やサービスに関する情報が不足している、不満を感じていることなどが一般的です。一つひとつの問い合わせに対して回答するだけでは、個別の問題解決で終わってしまいます。
しかし、問い合わせの内容や回答内容などを全て記録してナレッジとして蓄積すると、製品やサービスの質の向上や新しい価値の創造につながります。顧客が特に不満を感じているポイントが特定できれば、次の製品開発に生かせるようになります。
多言語対応が可能
サプライチェーンのグローバル化やITインフラの世界的な普及などにより、ビジネスを成長させるために海外の顧客やサプライヤーとの折衝の機会も増えています。そこで問題となるのが言語の壁です。
海外に製品を出荷していれば、海外の顧客から問い合わせが入り、その言語もさまざまです。多言語に対応できる人材も少ないため、翻訳サービスを利用して回答しているケースもあるでしょう。
生成AIは、言語の翻訳を得意としています。英語や日本語など世界の主要な言語であれば、人間が話すような自然な文章を瞬時に生成可能です。
多言語でのやりとりが可能な生成AIの導入で、これまでより多くの国に進出できるようになります。
24時間365日対応可能
人材を雇用して問い合わせに対応する場合、勤務時間の制約によって一般的には平日日中の時間帯のみ受け付けています。夜間や休日に聞きたいことがあっても、翌営業日まで待たなくてはなりません。
一方、生成AIには勤務時間の制約はありません。システムが正常に稼働している限り、24時間365日休むことなく働き続けることが可能です。問い合わせへの自動化ができれば、時間帯を気にせず顧客はいつでも聞きたいことを問い合わせできます。
説明書だけではわからない使い方を提供したり、見込み客が欲しい情報を即座に提供して将来の契約につなげたりできれば、顧客満足度の向上だけでなくビジネスの成長にもつながるでしょう。
コストの削減
問い合わせ対応のためにコールセンターなどを設置する場合、複数の専門スタッフの配置や回線や端末の準備などの費用がかかります。特に人件費などはビジネスの成長に伴って増加することが一般的です。
生成AIを活用したお問い合わせ対応では、大部分の回答を自動化できます。問い合わせの数が多くなっても、システムを増やす必要はありません。初期投資や維持費は必要ですが、人件費やビジネス成長に伴う追加費用は不要です。
システムを構築する際に費用と労力を要しますが、長期的に見ればコスト削減につながるでしょう。また、生成AIによる自動化はナレッジの蓄積や要約にも使えるため、問い合わせ対応だけでなく新しい価値創造のための投資とも言えます。
お問い合わせ対応を生成AIで自動化した事例
事業の規模が拡大するにつれて、顧客や支店からの問い合わせは増加します。コールセンターなど専用の対応部門を設置している企業もありますが、規模の大小にかかわらず現場にかかる負担は大きいと思います。
しかし最近は、生成AIを活用して効率化や顧客満足度の向上を図る事例が増えてきました。ここでは、代表的な事例を3つ紹介します。
事例①東京メトロ
東京での生活や旅行において欠かせない移動手段である東京メトロは、9路線195kmの線路と180もの駅を有しています※1。 2023年度の1日平均輸送人員は652万人にも上り、観光客の増加などで増加し続けています※2。
東京メトロを運営する東京地下鉄株式会社のお客様センターは、年間約25万件に及ぶ問い合わせの電話と約10万件のメールに対応しています。しかし、回答に時間を要したり、複数回の確認の連絡を取ったりするなど迅速な回答ができていない事例がありました。
そこで、Allgenize Japan株式会社の協力を受け、生成AIを使ったチャットボットの提供を2024年11月から開始しています。チャット形式による問い合わせへの迅速化に加え、受信したメールの内容把握や返答案の作成を自動で行う社内向けのサービスを導入しました。
事例②トランスコスモス
マーケティングやコールセンター事業、デジタル化など企業の活動を多面的に支援し、幅広い業界でビジネスプロセスの改善をサポートするトランスコスモスでは、生成AIを活用した新たなサービスを開始しました。
トランスコスモスのコールセンターサービスでは、これまで3,000社以上の顧客対応オペレーションを支援した実績があり、蓄積したノウハウを基にコールセンターの設計から構築、運用サービスを提供しています。
コンタクトセンターの管理者は、会話ログの分析や新人オペレーターの教育など、種類の異なる多様なタスクを抱えており、負担が大きいことが課題です。生成AIを活用することで、コールセンターの現場マネジメントにかかる工数を削減でき、顧客満足度の向上につながる業務に専念できるようになります。
これまで導入してきた感情解析、会話自動チェック、品質モニタリング、対話要約、トーク解析、VOC分析などの機能に加え、生成AIにより新人教育の短縮化や品質強化などの実現が可能です。※3
事例③島村楽器
音楽教室や楽器販売などのサービスを展開する島村楽器株式会社は、1962年の音楽教室設立以来成長を続け、2024年2月時点で39都道府県、179か所の事業所を設置しています。※4
新規に開設された店舗では、スタッフから東京本社へさまざまな問い合わせが入ります。支店数が多くなるほど問い合わせ数も増えるため、双方が事業を円滑に行うには担当者間の負担を軽減し、コミュニケーションを効率化する必要がありました。
そこで、生成AIを利用したチャットボット「OfficeBot」を導入しました。支店のスタッフが本社に電話を掛ける前にOfficeBotを利用するようになり、ある部門では週に95%もの問い合わせが導入前後で削減されています。※5
お問い合わせからメール送信までを自動化した「AIメール」
弊社では、実際にお問い合わせ業務の効率化を追求した「AIメール」を開発し導入しています。※6
このシステムは、問い合わせ内容の把握から企業の調査、回答までのプロセスを自動で行うため、お問い合わせにすぐに対応することが可能です。
これまでオウンドメディアからAI活用事例に関する問い合わせメールを受信すると、その回答に一件当たり約20分から30分もの時間を要し、営業担当者の業務を圧迫していました。AIメールの導入によりこの時間を5分まで短縮でき、業務効率化に大きく貢献しています。
AIメールは、問い合わせ元の企業情報をウェブ上で収集し、ニーズに合った最適な提案内容を含めたメール文を作成可能です。2024年12月時点ではβ版であり、今後も改良を続けて質の高いツールとしてお客様の業務効率化に貢献します。
お問い合わせ対応を自動化する際の注意点
生成AIにはさまざまな特徴があり、使い方によってはマイナスの影響を大きく受けるリスクがあります。ここでは、問い合わせ対応を生成AIで自動化する際の注意点を3つ紹介します。
生成AIが、自社のビジネスへ与えるリスクを事前に認識しておきましょう。
ハルシネーションの発生リスク
生成AIのビジネスでの活用を躊躇してしまう要因のひとつは「ハルシネーション」の発生です。ハルシネーションとは、生成AIが事実とは違う誤情報や現実には存在しない空想の話を出力する現象を意味します。
ハルシネーションを発生する要因は、AIモデルの学習データに誤った情報が含まれているなどいくつかありますが、全てを避けることは現時点では困難と言われています。
ハルシネーションによる判断ミスを防ぐには、事前に生成AIの特徴や使い方に合った防止策を検討しましょう。発生リスクを最小限に抑える取り組みが欠かせません。
情報漏洩のリスク
生成AIは、ユーザーが入力した情報を学習データとして利用するケースもあります。同一のAIモデルを複数の組織や個人で共有して使っているケースでは、企業秘密にあたる情報を入力してしまうとその秘密情報の一部が勝手に利用されてしまうリスクがあります。
2023年には、サムスン電子の社員が機密情報のソースコードをChatGPTにアップロードしたことで情報漏洩が起きたというニュースがありました。※7
その後、サムスン電子ではAIツール利用禁止の通達を出しています。顧客情報が流出すると企業のブランドや信用の失墜につながるため、生成AIを利用する際は、情報漏洩のリスクを認識し、ルールの徹底を図ることが大切です。
生成AIだけでは完全に対応できない
生成AIの導入により業務を効率化できますが、完全に人間と同等の作業をこなせるわけではありません。学習していない内容に関する問い合わせへの回答や他部門への確認が必要なケースなど、人間が介在しなければ問い合わせに回答できない場合もあります。
また、何らかの理由でテキスト入力ができない、AIの回答はわかり難いなど、人間のオペレーターと直接話したほうが早いと感じる顧客もいるでしょう。
いきなりすべてを自動化するのではなく、一部の業務からAIの活用を段階的に広げていく計画を立てることが大切です。
なお、生成AIの特徴について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
お問い合わせ対応に生成AIを活用して効率化を達成しよう
自社の製品やサービスが普及する、拠点や従業員が増えるなど、ビジネスが成長すると問い合わせも増加し、その対応は担当者の大きな負担となります。
生成AIを活用すれば、問い合わせ対応の一部を自動化し、担当者はより価値の高い作業に集中できるようになるでしょう。AIメールなどのツールを使えば、業務効率が向上し、リソース不足に対応できます。
しかし、生成AIにはハルシネーションや情報漏洩のリスクが存在するため、導入前の
十分な検討や利用者によるルールの徹底がかかせません。
正しい生成AIの活用で問い合わせを自動化し、ビジネスの成長につなげましょう。
- ※1: https://www.tokyometro.jp/corporate/profile/message/index.html
- ※2: https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS04289/8c6ad33e/e0c8/4d78/99f3/abaa0fff26df/20241219113538456s.pdf p6
- ※3: https://www.trans-cosmos.co.jp/company/news/240808_0001.html
- ※4: https://www.shimamura.co.jp/corporate/outline/index.html
- ※5: https://officebot.jp/interview/shimamuragakki/
- ※6: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000034375.html
- ※7: https://forbesjapan.com/articles/detail/62905
最後に
いかがだったでしょうか?
「生成AIを活用したお問い合わせ対応」は、業務効率化やコスト削減だけでなく、顧客満足度の向上にも直結します。この機会に、AI導入を検討してみてください。
株式会社WEELは、自社・業務特化の効果が出るAIプロダクト開発が強みです!
開発実績として、
・新規事業室での「リサーチ」「分析」「事業計画検討」を70%自動化するAIエージェント
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