忙しい人が週末だけでも運動すべき’別の理由’が明らかに!【体の健康だけじゃない】

アメリカ

忙しい現代人にとって、毎日運動することは難しいでしょう。

そのため週末だけ運動している「週末戦士(weekend warrior)」の人は少なくありません。

しかし、体に良いと分かっていても、「週末だけの運動ですらキツい……」とサボり気味になっている人もいることでしょう。

そんなあなたにこそ知ってほしいことがあります。

中国の揚州大学(Yangzhou University)の研究チームが新しい研究にて、週末だけの運動は体だけでなく、心の健康にも良く、不安症状を軽減する効果があると報告したのです。

研究の詳細は、2025年2月25日付の『BMC Psychiatry』誌にて発表されました。

目次

  • 週末だけ運動する「週末戦士」のメリットは?
  • 週末だけの運動は「最大35%の不安軽減」効果がある

週末だけ運動する「週末戦士」のメリットは?

「週末戦士」とは、週末の1〜2回だけ運動を行う人たちのことです

彼らは、時間がある週末だけで、推奨される運動時間である「150分の中強度運動」または「75分の高強度運動」を満たそうと励んでいます。

もちろん週末だけでなく定期的に運動したほうが良いですが、忙しい現代人にとっては、週末戦士でいるだけでも大変なことです。

そして数多くの研究により、そんな週末戦士の努力は報われることが分かっています。

例えば、週に1.2日の運動であっても、心血管疾患のリスク低減死亡率の低下肥満改善に効果があるのです。

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週末戦士は「体の健康に良い」ことが知られてきた / Credit:Canva

このように体へのメリットは広く認識されていますが、近年の研究では精神面にも大きな影響があることがわかってきました。

今回の新しい研究でも、週末戦士でいることが、メンタルにどのような影響を及ぼすのか調査されています。

中国の揚州大学の研究チームは、アメリカの国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いて分析しました。

2007年から2012年までの3つのNHANESサイクルから得た1万3740人の成人のデータを用いています。

このデータには、年齢、性別、人種、教育レベル、収入レベル、BMI、喫煙状況、アルコール摂取、睡眠時間、糖尿病や高血圧など、幅広い健康関連情報が含まれています。

運動習慣については、「非活動」「不十分な活動」「週末戦士(週に1~2回)」「定期的に活動(週3回以上)」の4つに分類され、それぞれのグループが不安症状に与える影響が調べられました。

週末だけの運動は「最大35%の不安軽減」効果がある

研究結果は非常に興味深いものでした。

まず非活動グループと比べると、他のすべてのグループは、不安レベルの低下を示しました。

また週末にのみ運動をしている「週末戦士」のグループでは、彼らの不安症状のリスクが顕著に低いことが示されました。

他の運動パターン(例えば、定期的な活動グループや、不十分な活動グループ)と比較しても、週末だけ運動をしている人々は最大35%も不安軽減の効果を示したのです。

この結果は、たとえ週末にしか運動できなくても、それを行うべき理由が十分にあることを示しています。

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週末だけの運動が「不安」を大きく軽減させると判明 / Credit:Canva

また興味深い発見として、低所得者層糖尿病患者において、この効果がより顕著に現れたことです。

この理由は明らかにはなっていませんが、特定の難しい状況にあったとしても、週末に運動することでスッキリし、メンタルが向上する可能性があると分かります。

これまでは、週末だけの運動が体調を整えるための手段と考えられてきました。

しかし今回の研究結果から、週末にいくらか運動に時間を割くことで、心の健康にもかなり良い影響を与えるとがわかりました。

週末に運動を取り入れることで、不安を軽減し、心を落ち着かせることができるなら、試してみる価値は十分にあります。

週末の運動があなたの精神衛生に与えるポジティブな影響は計り知れません。

忙しい日常の中で、無理なくできる運動を見つけて、週末を有意義に過ごしてみましょう。

心も体も、もっと健康に!

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参考文献

Only Exercising on Weekends Still Offers Surprising Mental Health Benefits
https://www.sciencealert.com/only-exercising-on-weekends-still-offers-surprising-mental-health-benefits

元論文

The association between weekend warrior physical activity pattern and anxiety: evidence from a U.S. population-based study
https://doi.org/10.1186/s12888-025-06612-x

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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