現代における最大の陸上動物はアフリカゾウで、体長7メートル、体重5トン以上に達します。
しかし今から数千万年前の恐竜時代には、アフリカゾウがちっぽけに見えるほど巨大なグループがいました。
それが首長恐竜として知られる「竜脚類(りゅうきゃくるい)」たちです。
そしてこのほど、米スル・ロス州立大学(SRSU)の研究チームは、竜脚類の中でも最大種のひとつとされる「アラモサウルス」の巨大化石を発見したと報告しました。
さて、アラモサウルスはどれほど巨大だったのでしょうか?
目次
- アラモサウルスはどのくらい巨大だったのか?
- アラモサウルスの巨大な椎骨を発見!
アラモサウルスはどのくらい巨大だったのか?
アラモサウルス(学名:Alamosaurus sanjuanensis)は、約7000万年前の白亜紀後期に、北アメリカ南西部に生息していた巨大な草食恐竜です。
分類上はティタノサウルス類という竜脚類の一群に属し、長い首と尾を持ち、四足歩行をしていました。
驚くべきはその巨大な体格です。
アラモサウルスは大人になると、全長21〜26メートル(最大個体だと30メートルを超えるという推定も)、体重は30トンを優に超えていたと示唆されています。
これはアフリカゾウの5倍以上の大きさです。

最初の化石は1922年に米ニューメキシコ州のオホ・アラモ層(Ojo Alamo Formation)で発見されました。
白亜紀の末期、恐竜たちが絶滅に向かう中で、アラモサウルスは最後の大型竜脚類のひとつとして北米に生き残っていました。
彼らの祖先は南米から北上して北アメリカ大陸に住み着いたと考えられています。
その一方で、これまでのアラモサウルスの化石は多くが断片的であり、特に保存状態の良い標本は極めて少数でした。
しかし今回の発掘調査では、非常に状態のいいアラモサウルスの巨大化石が見つかったのです。
アラモサウルスの巨大な椎骨を発見!
この発見は2025年3月、スル・ロス州立大学の地質学専攻の学生たちが参加する現地調査の中で実現しました。
調査の目的は、白亜紀から始新世にかけての地層の構造解析にありました。
チームは米テキサス州にあるビッグ・ベンド国立公園の白亜紀地層で調査を開始。
するとその中で、非常に巨大で保存状態もいい椎骨の化石が見つかったのです。
損傷を避けながら慎重に化石を掘り出し、研究室に持ち帰って分析を進めました。
その結果、この巨大な椎骨の持ち主はアラモサウルスであることが特定されたのです。

この椎骨は、1970年代にテキサス大学の研究者によって記録されたアラモサウルスの骨格の一部と一致しており、 保存状態の良さから、今後さらに骨格の全体像を復元するための重要な手がかりとなることが期待されています。
アラモサウルスのような巨大竜脚類の存在は、白亜紀末期の生態系や絶滅過程を理解する上で不可欠なピースです。
特に北アメリカにおける恐竜の終焉を語るうえで、アラモサウルスの研究は非常に大きな意味を持ちます。
今回の発見は、長年断片的にしか見つかっていなかったアラモサウルスの全体像を描く大きな一歩となるでしょう。
参考文献
Huge fossil from one of the largest dinosaurs found in Texas national park
https://phys.org/news/2025-04-huge-fossil-largest-dinosaurs-texas.html
70-million-year-old fossil of largest North American dinosaur discovered in Texas
https://interestingengineering.com/science/alamosaurus-fossil-unearthed-in-texas?group=test_a
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部