✨コツメカワウソの赤ちゃん最新情報✨
11/27でコツメカワウソのここ、なっつ、みるくが生後半年を迎えます!✨
当日まで3つの投稿に分けてこれまでの成長を振り返っていきます✊🏻… pic.twitter.com/8Qcjcr0a2d— サンシャイン水族館 (@Sunshine_Aqua) November 25, 2024
水族館やSNSで見かける、まんまるの瞳にちょこちょこ歩き―― そんな「癒やし系」の代表として、コツメカワウソは大人気です。
YouTubeではカワウソたちのじゃれ合う動画が何百万回も再生されており、 ぬいぐるみやキャラクターとしても愛されています。
しかし野生のコツメカワウソとなると、見かけることができるのはアジアに限られており、一部の国では絶滅したとさえ考えられています。
そんな中、2024年11月に驚くべき発見がありました。
なんと185年ぶりにネパールの川で、野生のコツメカワウソが確認されたというのです。
絶滅寸前とされていたこの小さな生き物は、なぜ帰ってくることができたのでしょうか。
目次
- ソーシャルメディアで人気の絶滅危惧種「コツメカワウソ」の現状とは
- 185年ぶりの奇跡、ネパールにコツメカワウソが帰ってきた!
ソーシャルメディアで人気の絶滅危惧種「コツメカワウソ」の現状とは

コツメカワウソ(学名:Aonyx cinereus)は、現存するカワウソの中でも最小種です。
体長は40〜65cm、手のひらサイズの前足の爪はかなり短く、まるで人の手のように器用に動かせます。
この「小さな手」が名前の由来でもあり、小魚や甲殻類を川底から器用にすくい取る姿も人気の秘密です。
日本では2010年代後半からペットとしての人気が高まり、 SNSやテレビで頻繁に登場するようになりました。
その一方で、野生のコツメカワウソは減少の一途をたどってきました。
東南アジアを中心に広く分布していた本種ですが、 森林破壊、水質汚染、違法取引などにより生息地は急速に縮小。
IUCN(国際自然保護連合)では絶滅危惧種に分類されています。
最近では、ペット目的での違法な販売のために乱獲や密輸が行われており、コツメカワウソは一層保護が必要な存在になっています。
エイプリルフールでもないのに狭い世界でウソが巡り続ける、昨今のインターネットを風刺した映像です(という嘘)
📷20220910 #八景島シーパラダイス #コツメカワウソ pic.twitter.com/wREPj8yKSQ
— はなまるかけだしうどん (@kakedashiudon) April 1, 2025
ネパールには3種のカワウソが生息すると考えられてきました。
ビロードカワウソ(学名:Lutrogale perspicillata)、ユーラシアカワウソ(学名:Lutra lutra)、コツメカワウソです。
コツメカワウソに関しては、1839年以来目撃されておらず、 「もうこの国にはいない」とさえ考えられるようになっていました。
しかし最近、そんな長年の沈黙を打ち破る、まさに希望のニュースが飛び込んできました。
185年ぶりの奇跡、ネパールにコツメカワウソが帰ってきた!

2024年11月、ネパール西部のダデルドゥラ県にあるラングン川とプンタラ川の合流地点で、 1匹のコツメカワウソの子どもが目撃・撮影されました。
地元の住民が偶然発見し、近くの森林管理局で一時的に保護されました。
発見当時、コツメカワウソの子供は傷ついて弱った状態であったため、関係者は数日間エサを与えて世話することにしました。
その後この子供は元気になったため、自然に帰されました。
ちなみにこのタイミングでは、このカワウソの子供が「コツメカワウソ」であることははっきりと分からなかったそう。
撮影された写真がIUCNの専門家グループに送られることで、正式に「コツメカワウソである」と確認されたのです。

ちなみにコツメカワウソが発見された場所は人間の生活圏にほど近く、洗濯や釣り、採石が日常的に行われる川辺でした。
それでも彼らは戻ってきたのです。
なぜでしょうか?
近年、ネパールでは一部地域で水質の改善や生態系回復の兆しが見られています。
また、カワウソという種自体が、意外にも「人間活動に適応する力が強い」ことも分かってきました。
彼らは柔軟な生息地選択が可能であり、浅瀬で餌となる魚や甲殻類が豊富な場所であれば、 比較的限られた空間でも生活を維持することができます。
そのような柔軟性から、報告書では「個体数が少ない状態から回復する能力を備えている」と示されています。
とはいえ、今回の発見が「問題解決」を意味するわけではありません。
乱獲や農薬の流出、森林伐採、違法漁など、 コツメカワウソたちを取り巻くリスクは今もなお高まっています。
研究者たちはこの発見を機に、 「全国規模でのカワウソ調査」や「重点保護区域の設定」を求めています。
ネパールはこれまでサイやトラの保全に成功してきた実績があります。
次は、小さなカワウソがその成功例に加わる番なのかもしれません。
参考文献
Confirmation of the Presence of Asian Small-Clawed Otter Aonyx cinereus in Nepal after 185 Years.
https://iucnosgbull.org/Volume42/Shrestha_et_al_2025.html
Presumed Extinct: World’s Smallest Otter Found in Busy Nepal River After 186 Years without a Sighting
https://www.goodnewsnetwork.org/presumed-extinct-worlds-smallest-otter-found-in-busy-nepal-river-after-186-years-without-a-sighting/
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部