シャンパンを定期的に飲む人は「心臓突然死」のリスクが下がっていた!

アルコール

シャンパンは特別な日やお祝いの場で飲むものであり、普段から頻繁に飲んでいる人は少ないでしょう。

しかし中国・復旦大学の最新研究で、シャンパンを定期的に飲む人は、そうでない人に比べて心臓突然死(SCA)のリスクが低くなる可能性があることが判明しました。

平日でも、たまにシャンパンを開けるのもいいかもしれません。

研究の詳細は2025年4月28日付で医学雑誌『Canadian Journal of Cardiology』に掲載されています。

目次

  • シャンパンは「心臓突然死」を予防できるのか?
  • 心臓突然死を予防する因子を発見

シャンパンは「心臓突然死」を予防できるのか?

これまでの研究で、赤ワインには抗酸化作用を持つポリフェノールの一種「レスベラトロール」が豊富に含まれており、心血管の健康に良いことがわかっていました。

そのため、「赤ワインを適度に飲むと健康に良い」ことが以前から一般的に知られていましたが、他方で白ワインやシャンパンについては、それほど注目されていませんでした。

しかし今回の研究では、赤ワインに限らず、白ワインやシャンパンを定期的に飲んでいる人々にも、心臓突然死のリスクが有意に低い傾向があることが示されたのです。

心臓突然死とは、いたって健康だと思われていた人が突然、不整脈に襲われて心停止が起こり、脳に血液が循環せず死に至る疾患です。

日本では心臓突然死によって年間約6〜8万人が亡くなっており、倒れてから数分以内に治療が行われなければ、多くの場合命を落とす深刻なものです。

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Credit: canva

英国では毎年約3万人が病院外で心臓突然死を起こしており、世界的にも非常に多くの死亡原因となっています。

このような重大な疾患に対し、日々の食生活や飲酒習慣が影響するという事実は、私たちにとって見逃せない情報です。

とはいえ「お酒が健康にいい」と聞くと、つい都合よく解釈したくなるのも人の性。

果たして、今回の研究はどのような視点からこの仮説に迫ったのでしょうか?

心臓突然死を予防する因子を発見

研究チームは今回、英国の大規模な生体情報データベースである「UKバイオバンク」を活用し、中高年の男女50万2094人を平均13.8年間追跡しました。

追跡期間のうちに3147人が心臓突然死に見舞われています。

研究者たちは、生活習慣、社会経済的要因、心理的要素、地域の環境(例:大気汚染)など、臨床データでは捉えきれない「非臨床的な要因」まで含めた合計56のリスク因子を洗い出しました。

分析手法には、環境因子と健康リスクの関連を網羅的に評価する手法と、因果関係の強さを検証する手法が用いられました。

その結果、果物の摂取、健康的な体重維持、前向きな気分、血圧の管理、そして白ワインやシャンパンの定期的な摂取といった習慣が、心臓突然死のリスクを下げる保護因子となっていたことが判明したのです。

逆に、気分の落ち込み、高BMIや上腕の脂肪量、睡眠の質の低下、低い教育水準などは、心臓突然死のリスク因子として強く関連していることが示されました。

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Credit: canva

特に注目すべきは、シャンパンと白ワインの摂取に対する評価です。

これまで赤ワインの心血管保護効果ばかりが注目されてきましたが、今回の研究は「シャンパンや白ワインにも同様の、あるいは異なる形での保護効果がある可能性」を示唆しています。

この意外な結果について、研究者らは「赤ワイン信仰を見直す契機となり、白ワインやシャンパンの健康効果にも注目されるようになるだろう」と指摘しています。

もちろん、アルコールの摂取が一律に健康に良いわけではなく、過剰摂取は逆効果となるため注意が必要です。

それでも今回の研究は、飲酒習慣の“質”に注目すべきであることを教えてくれます。

お祝いの日でなくても、たまには晩酌にシャンパンを飲むといいかもしれません。

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参考文献

Drinking champagne could reduce risk of sudden cardiac arrest, study suggests
https://www.theguardian.com/society/2025/apr/29/drink-champagne-reduce-risk-sudden-cardiac-arrest-study-suggests

Drinking white wine could reduce risk of cardiac arrest – study
https://news.sky.com/story/drinking-white-wine-and-eating-more-fruit-could-reduce-risk-of-cardiac-arrest-study-13357927

元論文

Modifiable Risk Factors and Attributable Burden of Cardiac Arrest: An Exposome-wide and Mendelian Randomization Analysis
https://doi.org/10.1016/j.cjca.2025.02.027

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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