アクションゲームをよくプレイする人は「脳のある機能」がレベルUPしていた!

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子供のころ、母親から「ゲームばかりするな!」と叱られたことがあるかもしれません。

しかし最新の科学研究は、ゲームが逆に脳の認知機能を高める可能性があることを示しています。

米ジョージア州立大学(GSU)の研究で、アクションゲームを定期的にプレイする人の脳は、視覚情報の処理に関わる特定の経路で、機能的・構造的な結びつきが強くなっていることが判明したのです。

アクションゲームをよくしていると、視覚処理能力が高まるかもしれません。

研究の詳細は2024年11月28日付で学術誌『Brain Sciences』に掲載されています。

目次

  • 視覚処理に関わる2つの脳経路
  • アクションゲームは視覚処理能力を高めていた

視覚処理に関わる2つの脳経路

私たちヒトの脳には、視覚情報を処理するための2つの明確な経路が存在します。

それが「背側経路」「腹側経路」です。

背側経路は一次視覚野から始まって頭頂葉へと伸びるルートで、主に物体の空間的位置や動きの方向を処理する役割を担っています。

腹側経路は一次視覚野から始まって側頭葉へと伸びるルートで、主に物体の形状や色などの詳細な特徴を把握する役割を担っています。

このように、背側経路は物の動きや方向を処理することから「どこ(Where)経路」と呼ばれ、腹側経路は物の特徴を処理することから「なに(What)経路」と呼ばれます。

そして、これら背側経路と腹側経路が互いに連携することにより、脳は視覚情報を統合して、周囲の環境に対する認識と空間的な理解を行っているのです。

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Credit: canva

その一方、これまでの研究で、アクション系のゲームが視覚注意や空間認識の向上に寄与することが報告された例があります。

アクションゲームはしばしば、空間的な探索やナビゲーション、素早いタイミングの調整を必要とするため、定期的なプレイ習慣が脳の視覚処理能力を高める可能性があると考えられているのです。

しかしそれが脳のどこに、どう影響しているのかというメカニズムまでは、長らく明らかではありませんでした。

そこで研究チームは今回、アクションゲームのプレイヤーとゲームをほとんどしない人の脳を比べて、視覚処理能力がどのように異なるかを調べました。

アクションゲームは視覚処理能力を高めていた

チームは、アクションゲームを週5時間以上、延べ2年以上プレイしているゲーマー28人(男性24人・女性4人)と、ほとんどゲームをしない非ゲーマー19人(男性7人・女性12人)を対象に調査を行いました。

主にプレイされていたアクションゲームの種類は、一人称視点シューティングゲーム、リアルタイムストラテジー、マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ、およびバトルロイヤル形式でした。

調査では、全員が同じ視覚処理に関するタスク(動いている点の集合の中から全体としての動きの方向を判断するタスク)に取り組んでいる最中の脳活動をMRIを用いて解析しました。

その結果、アクションゲームのプレイヤーは、非ゲーマーに比べ、背側経路において機能的および構造的な結合が強化されていることが判明したのです。

これは先ほど言ったように先ほど言ったように、物の位置や動きなどの空間的情報を処理し、「どこにあるか」「どう動くか」を判断する役割をもつ経路です。

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そして、その脳構造の違いはタスクの結果にもちゃんと現れていました。

背側経路がより強く結びついているゲーマーほど、動く対象にすばやく反応できたのです。

これはアクションゲームを習慣的にプレイすることによって、物の動きを「見る力」や「反応力」を高められることを示唆しています。

単なる娯楽の遊びとして楽しんでいたゲームが、いつの間にか脳を鍛えるトレーニングになっている可能性があるのです。

これらを踏まえてチームは、アクションゲームが今後の教育やリハビリ、あるいはスポーツトレーニングなどに応用できるかもしれないと期待しています。

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参考文献

Action video gamers have enhanced functional and structural connectivity in the dorsal visual stream
https://www.psypost.org/action-video-gamers-have-enhanced-functional-and-structural-connectivity-in-the-dorsal-visual-stream/

元論文

Connectivity in the Dorsal Visual Stream Is Enhanced in Action Video Game Players
https://doi.org/10.3390/brainsci14121206

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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