ついに⽇本初となる「新種の翼⻯」を発見! 「ニッポノプテルス」と命名

化石

恐竜時代の空を支配していた「翼竜」。

日本ではこれまで断片的な化石しか見つかっていませんでしたが、ついに“日本初”の新種が発見されたようです。

研究を行ったのは、熊本大学や北海道大学を中心とする国際研究チーム。

この翼竜は日本で見つかったことから「ニッポノプテルス・ミフネンシス(Nipponopterus mifunensis)」と命名されています。

研究の詳細は2025年3月号の科学雑誌『Cretaceous Research』に掲載されました。

目次

  • 日本で未発見だった「新種の翼竜」
  • ついに日本初の新種を発見!

日本で未発見だった「新種の翼竜」

空飛ぶ爬虫類「翼竜」の骨格は細く華奢なつくりをしているため、他の陸生恐竜たちに比べると、発見された化石記録があまり多くありません。

日本国内では、北海道、岩手県、富山県、石川県、岐阜県、兵庫県、長崎県、熊本県、鹿児島県から断片的な化石が知られているのみで、国内で産出した化石から新種の翼竜が命名されたケースは一度もありませんでした。

そんな中、熊本県の南方に分布する後期白亜紀(約1億500万~6600万年前)の地層「御船層群(みふねそうぐん)」は、翼竜発見の有力な候補地として注目されています。

御船層群では1993年、河床から翼竜の指骨が発見され、続いて1996年には頸椎骨も確認されました。

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見つかっていた化石の3次元デジタル画像/ Credit: 熊本大学 – 日本初、翼竜類の新属新種命名(2025)

しかし当時は世界的にも翼竜研究が進んでおらず、この標本の正体は長く「種不明」とされてきました。

今回、最新のCTスキャン技術や204種・533項目におよぶ大規模な比較研究によって、ついにその正体が解き明かされたのです。

ついに日本初の新種を発見!

研究チームは詳細な化石分析から、御船層群で発見された頸椎骨が「翼竜の第6頸椎骨」であることを突き止めました。

この骨には、後関節突起の独特な稜や椎体底部の溝、三角形の関節面など4つの特徴的な形状が確認されました。

これらの特徴が他のどの翼竜とも異なることから、アズダルコ科の新属・新種と認定され、「ニッポノプテルス・ミフネンシス(Nipponopterus mifunensis)」と命名されました。

この学名は「日本の翼竜(Nippon + pterus)」と「御船産(mifunensis)」を意味しています。

日本から新種の翼竜が記載されるのは初めての快挙です。

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ニッポノプテルス・ミフネンシスの復元図/ Credit: 熊本大学 – 日本初、翼竜類の新属新種命名(2025)

さらに比較解析の結果、この翼竜は後期白亜紀に北米で生息し、同じアズダルコ科に属していた巨大翼竜「ケツァルコアトルス」の系統に属することが明らかになりました。

今回の新種標本は、アズダルコ科の中でも最古級のものにあたり、日本産の翼竜としては画期的な発見です。

国内では依然として翼竜の化石記録が非常に限られており、御船層群のさらなる調査が期待されています。

今後もより完全な骨格標本や、他の部位の発見によって、日本の空を飛んでいた翼竜たちの生態が明らかになることが望まれます。

今回の「ニッポノプテルス・ミフネンシス」の発見は、日本の古生物学史における大きな一歩です。

化石発見が困難とされてきた日本の翼竜研究に、新たな希望をもたらしました。

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参考文献

日本初、翼竜類の新属新種命名
https://www.kumamoto-u.ac.jp/whatsnew/sizen/release20250513

元論文

Reassessment of an azhdarchid pterosaur specimen from the Mifune Group, Upper Cretaceous of Japan
https://doi.org/10.1016/j.cretres.2024.106046

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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