夜中の公園にたたずむホログラムの警察官。
一見恐怖の対象でしかないですが、犯罪を防止するには効果的だったようです。
近年、韓国・ソウルの中心部にある公園で、等身大のホログラム警察官が夜の治安を見守るという先進的な取り組みが始まりました。
このホログラム警官の登場により、公園周辺の犯罪率が大きく減少したことが明らかになっています。
目次
- 韓国ソウルの夜の公園に「ホログラム警官」が登場!犯罪率を22%下げる
- 市民のリアルな反応は?「安心する」けどちょっと怖い!?
韓国ソウルの夜の公園に「ホログラム警官」が登場!犯罪率を22%下げる
2023年10月、ソウルの繁華街の公園に設置されたのは、身長170センチを超える制服姿の3Dホログラム警察官です。
公園の一角にリアルな映像で現れ、利用者に向けて「緊急時には警察がすぐに駆けつけます」「このエリアには監視カメラが設置されています」などと語りかけます。
このホログラム警官を開発したのは韓国のテック企業「Hologrammica」。
運用は夜の19時から22時の間に限られており、物理的に本物の警官が常駐できない時間帯でも、「警官の存在感」を与えることが目的です。
特に、この公園の近隣には飲み屋街があり、酔客による突発的な犯罪やトラブルが多発していました。
そこで警察は「人が見ている」という心理的なプレッシャーを活用し、犯罪や迷惑行為の未然防止を狙っています。
この新しい防犯対策の効果は、数字で示されています。
ソウル警察の発表によると、設置前後の同時期を比較した結果、公園周辺の犯罪発生件数が約22%減少。
ホログラム自体には犯人を取り押さえる力はありませんが、“警官が見ている”という雰囲気だけで犯罪を減らせる可能性が示されました。
ソウル警察署長のアン・ドンヒョン氏は「ホログラムサインは市民の体感治安を高め、心理的な予防効果をもたらすスマートな防犯装置として定着しつつある」とコメントしており、今後も犯罪予防のための活動を拡大していく方針を明らかにしています。
では、この新しい取り組みに対して人々はどんな反応を示しているのでしょうか。
市民のリアルな反応は?「安心する」けどちょっと怖い!?
この斬新な防犯策に対して、市民の反応は非常に多様です。
SNSやYouTubeでは「飲み屋街の近くだし、衝動的な犯罪には本当に効果があると思う」「夜の公園は怖いけど、警官のホログラムと音声があるだけでも安心感が全然違う」といった肯定的な声が多く見られます。
特に女性や夜間に公園を利用する人からは「怖さが和らぐ」「もっといろいろな場所に広げてほしい」といった意見が寄せられています。
また、「ただそこに“警察官”がいるだけで自然と警戒心が高まる」と、心理的な効果への納得も目立ちます。
犯罪の事後対応よりも未然防止が大切だという意見や、警察への感謝の声も多く上がっています。
一方で、「現代のかかしみたい」「幽霊警官みたい。夜に見たらビックリする」といったユーモラスな反応もあります。
また「同じ場所にずっと置くと慣れてしまうので、設置場所を変えた方がいい」「もし緊急時に通報ボタンがあればもっと安心できるのに」といった、より効果的な運用のための具体的な提案も見られます。
加えて、「本物の警察官の役割を完全に代替することはできない」という指摘もあります。
ホログラム警官は、「見られている」という心理的効果で防犯を強化する新しいアプローチである一方、長期的な運用には市民の声を取り入れながら工夫やアップデートが必要だという課題も浮かび上がっています。
このように韓国の公園で始まったホログラム警察官の実証実験では、多くの反響があったようです。
もしかしたら、日本でもホログラムの警察官が、私たちの街角に現れる日が来るかもしれませんね。
参考文献
South Korea Deploys Life-Size Holographic Police Officers to Prevent Crimes
https://www.odditycentral.com/news/south-korea-deploys-life-size-holographic-police-officers-to-prevent-crimes.html
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部