戦争の姿が変わりつつあります。
空では自律型ドローンが敵味方を識別し、ボタン一つで標的を破壊する。
陸上ではロボット兵器が索敵・攻撃を自律的にこなし、人間の判断はますます後ろに下がっています。
そして今、新たに「海」がその無人戦争の舞台として本格的に参入しようとしています。
アメリカのスタートアップ企業Andurilが発表した自律型無人潜水機「Copperhead(カッパーヘッド)」は、戦争のあり方に再び深い問いを投げかけています。
目次
- ドローンで溢れる戦場――空と地上に続き、海までも
- 魚雷を積んだ自律型無人潜水機「Copperhead-M」──深海のハンターが変える戦争とは
ドローンで溢れる戦場――空と地上に続き、海までも
現在、世界各地の紛争や軍事演習では、自律型の無人兵器が急速に拡大しています。
たとえば、空ではAI搭載の無人戦闘機が目標を自律判断し、地上では歩兵ロボットが監視や爆発物処理、さらには攻撃任務にまで対応しています。
こうした兵器は、機械同士が戦う「人なき戦争」へと私たちを導いています。
そして今回、海の戦場に現れたのが「Copperhead」です。
Anduril社が開発したこの自律型無人潜水機(AUV)には、2種類のモデルがあります。

一つは非兵器型の「Copperhead」で、これは主に偵察や環境調査、通信中継などに用いられる海中ドローンです。
そしてもう一つが「Copperhead-M」──弾頭を搭載し、自律的に敵を探索・追跡・破壊する兵器型です。
これらはいずれもモジュール式で、Anduril社が開発した大型AUV(無人潜水機)「Dive-XL」などに搭載され、群れのように海中を進むスウォーム戦術にも対応しています。
では、これらAUVによって、戦場はどのように変わるのでしょうか。
魚雷を積んだ自律型無人潜水機「Copperhead-M」──深海のハンターが変える戦争とは
Copperhead-Mは、まさに自律型兵器の象徴です。
AIによって制御されるこの魚雷は、事前にプログラムされた目標情報をもとに、海中を自律航行しながら敵艦や潜水艦を探し出します。
従来の魚雷のように人間の判断を必要とせず、戦場では複数体が同時に投入され、連携して動くことができます。
しかも時速55km以上の速度で水中を自由自在に移動できます。

最大500ポンド(約227kg)のペイロードを搭載可能な「Copperhead-500M」では、大型の弾頭を積んだ状態で広範囲を制圧可能。
こうした機体の登場は、無数の安価な自律型魚雷が海中を徘徊し、いつどこから攻撃されるかわからない世界の到来を予感させます。
そしてこうした脅威に対抗するために、新たな自律型無人潜水機が投入されることでしょう。
いまや、戦争は人と人が向き合う場ではありません。
機械が機械を撃ち合い、その陰で誰が責任を負うのかも曖昧になりつつあります。
空と地上に続き、海までも自律型兵器で溢れる危険な場所になっていくのかもしれません。
参考文献
Copperhead torpedoes pack robotic subs with lethal punch
https://newatlas.com/military/copperhead-torpedoes-autonomous-submarines/
Anduril Unveils Copperhead: A New Era of Autonomous Undersea Dominance
https://www.anduril.com/article/anduril-unveils-copperhead-a-new-era-of-autonomous-undersea-dominance/
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部