【年を取るほど免疫力UP】120年以上生きる「老化しない魚」が凄すぎる

テロメア

私たちは年を取れば取るほど、老化していく運命にあります。

しかし地球上には、年齢を重ねるごとに免疫機能が高まる驚きの生物が存在します。

それが北米の淡水系に生息する「バッファローフィッシュ(Ictiobus)」です。

彼らは”老化しない魚”として知られ、これまでの最長記録では127歳の個体が見つかっています。

一体どのような魚なのでしょうか?

目次

  • 年を取るほど免疫力アップ⁈ 驚異の「老化しない魚」
  • 絶滅の危機も「寿命の長さ」でカバー

年を取るほど免疫力アップ⁈ 驚異の「老化しない魚」

見た目は少し地味なこの魚、バッファローフィッシュはアメリカやカナダの淡水に広く生息しています。

これは世界中の淡水魚のなかでも最長寿であり、寿命は100歳を優に越え、現時点での最長記録では127歳の個体が確認されています。

全長は大きい個体で1.2メートルほどです。

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バッファローフィッシュ/ Credit: en.wikipedia

しかも、バッファローフィッシュはただ長生きなだけではありません。

2021年の研究では、耳石(じせき)と呼ばれる内耳を用いて年齢を測定し、加齢の影響を調べる調査が行われています。

耳石には木の年輪のように層ができるため、魚の年齢を精密に知ることができます。

研究者らは、2歳から99歳までの個体におけるテロメア(DNA末端構造)や免疫機能、ストレスレベルなどの生理的指標を調べる研究を行いました。

その結果は驚くべきものでした。

なんとバッファローフィッシュは年齢を重ねてもテロメアの長さが安定しており、免疫機能はむしろ年長の個体ほど優れていて、生理的なストレス反応も少ないことがわかったのです。

これは多くの動物に見られる「加齢による機能低下」がバッファローフィッシュにはほとんど存在しないことを示しています。

このように、高齢になっても身体の若々しい機能を失わないことから”老化しない魚”と呼ばれるようになりました。

また彼らは天敵の捕食による絶滅の危機も、その極端な寿命の長さによってなんとか生きながらえているのです。

絶滅の危機も「寿命の長さ」でカバー

ある地域の個体群には深刻な問題が浮かび上がっています。

米ミネソタ州のライス湖では、過去50年以上にわたってバッファローフィッシュの若い世代の魚が育っておらず、種の絶滅が危惧されているのです。

バッファローフィッシュの産卵は毎年行われ、卵もふ化しているのですが、ライス湖では夏の終わりまでに若い個体がすべて姿を消しているのです。

調査によると、ライス湖のバッファローフィッシュの平均年齢は79歳に達していることが確認されています。

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Credit: commons.wikimedia

その主な原因は、カワカマスの一種「ノーザンパイク」による捕食です。

ノーザンパイクの稚魚はバッファローフィッシュより早くふ化して成長します。

そのため、後から生まれて成長速度も遅いバッファローフィッシュの幼魚は、まさに“泳ぐスナック”のような存在であり、ノーザンパイクによって簡単に捕食されてしまうのです。

こうした現状が半世紀以上も続いているにもかかわらず、バッファローフィッシュが完全に絶滅していないのはひとえに「寿命の長さ」に理由があります。

バッファローフィッシュは100年以上も生きられるので、毎年のようにノーザンパイクに子孫を食い荒らされても、たまたま子孫が食べられずに生き残る年が数回あれば、十分に世代を繋ぐことができるのです。

他の魚なら絶滅してしまうような長い空白期間を、彼らはただただ“長く生き延びる”ことで乗り越えているのです。

だからといって、バッファローフィッシュをまったく保護しなくてもいいというわけではありません。

特にミネソタ州では、バッファローフィッシュの漁獲制限がなく、年中いつでも捕獲が可能な状態です。

そのため、ノーザンパイクの他にも人による乱獲が進んで、個体数が減り続けています。

研究者らは「バッファローフィッシュのうちに寿命を延ばす秘密が隠されている」と考えており、その知見を私たち自身に還元するためにも、バッファローフィッシュは守らなければならない存在なのです。

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参考文献

This Freshwater Fish Can Live Over 120 Years and Shows No Signs of Aging. But It Has a Problem
https://www.zmescience.com/science/news-science/bigmouth-buffalo-old-fish/

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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