【ガチ絶倫】メダカは1日最高27回も射精できる【最後精液はどうなるのか?】

交尾

動物が1日に行える性行為や射精の回数には限界があります。

一部を除いて、性行為は1日に1~数回であることがほとんどです。

私たち人間の性行為の回数も、そんなところでしょう。

では、小学校の授業で活躍した「メダカ」は、1日に何回性行為できるのでしょうか。

大阪公立大学大学院理学研究科に所属する近藤湧生氏ら研究チームは、メダカは1日に最大27回の性行為(産卵行動)が可能であることを発見しました。

精子の数には限界があると考えられますが、そんなに行為を繰り返した場合、最後の方では精液はどういう状態になっているのでしょうか?

研究の詳細は、2025年1月8日付の学術誌『Royal Society Open Science』に掲載されました。

目次

  • 動物たちが1日に「できる」回数は?
  • メダカのオスは「1日に最大27回」産卵行動できる

動物たちが1日に「できる」回数は?

人間は月に1~3回程度の性行為が一般的であり、男性は1日に1~3回程度の射精が可能です。

もちろん個人によって差があり、米国の性科学者アルフレッド・キンゼイの報告によると、1度のセックスで射精回数が6~8回に及んだ例があるという。

対象を動物界全体に広げるとどうでしょうか。

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動物たちは1日に1~数回の交尾を行う。ただし例外あり / Credit:Canva

オオカミは1日あたり1~数回の交尾を行います。

他の動物も一部の例外を除いて、同じくらいでしょう。

では、水中を泳ぐ魚たちは、どうでしょうか。

観賞魚として古くから日本人に親しまれてきたメダカについて考えてみましょう。

メダカの産卵行動では、オスがヒレを使ってメスを抱き、メスの腹から出た卵に精子をかけます。

この間10~20秒であり、精子と卵が結び付くことで受精卵ができます。

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ミナミメダカの産卵行動の様子 / Credit:近藤 湧生(大阪公立大学)_メダカのオスはメスとの産卵行動を1日平均19回できるが、放精数と受精率は回を重ねるほど激減(2025)

「オスはたくさんの精子を作り、メスは大きな卵を少しだけ作る」という違いから、オスは複数回放精できると考えられています。

そのためメダカの繁殖については、メスの卵が主に注目されており、オスの精子の数はあまり気にされてきませんでした。

しかし最近の研究から、膨大な数の精子を作るには、予想以上に多くのエネルギーや時間が必要だと分かってきました。

このため、オスのメダカの1日の放精数の限界を知ることは、メダカがどのように子孫を残しているかを理解する上で重要な鍵になると考えられるのです。

そこで近藤氏ら研究チームは、メダカの産卵行動の限界や受精率への影響、行動の変化などを調べることにしました。

メダカのオスは「1日に最大27回」産卵行動できる

研究チームは、メダカのオスが1日に何度も産卵行動を行い、メスは1日に1回しか産卵しないという特徴を生かし、ある実験を行いました。

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実験の流れ。色分けは異なる個体を表す。オス(青)が 3 回連続で産卵行動をしなくなるまで繰り返した / Credit:近藤 湧生(大阪公立大学)_メダカのオスはメスとの産卵行動を1日平均19回できるが、放精数と受精率は回を重ねるほど激減(2025)

オスとメスを1匹ずつ同じ水槽に入れ、ビデオカメラで撮影。

そのペアが産卵行動を終えると、オスだけを別のメスがいる水槽に移し、再び産卵行動を撮影します。

これを繰り返すことで、オスが1日に何回産卵行動するのか数えたのです。

ちなみに、ペアが組まれてから20分経っても産卵行動が見られないと、そこで実験は終了します。

そして各ペアの産卵行動が終わるたびに、メスのお腹にぶら下がっている卵をすべて集め、受精率、放精数、オスとメスの行動を分析しました。

その結果、オスの産卵行動は、1日平均19回だと分かりました。

ちなみに、最多は27回、最少は4回でした。

メダカのオスの性行為の回数は、人間や他の動物と比べて非常に多いのです。

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オスのメダカは1日に最大27回、産卵行動できる / Credit:Canva,ナゾロジー編集

また、メスの産卵数は平均12個、オスから放出される精子の平均数は数万~十数万個でした。

それでも、放精数は産卵行動の回数を重ねるたびに劇的に減少していきました。

実際、最初の産卵行動では平均4万6388個の精子を放出していましたが、最後の産卵行動では、平均2775個(最初の0.5~6.3%)にまで減っていました。

1日の総放精数の50%以上が、開始3回の産卵行動で消費されていたのです。

さらに、このような放精数の減少は、卵の受精率を大きく低下させることも分かりました。

開始数回の産卵行動では受精率がほぼ100%でしたが、10回目以降はそうではなく、受精率が0%の場合もあったのです。

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(a, b)オスの放精数は産卵行動の回数を重ねるごとに急激に減少し、それに伴って受精率も減少。 (c) 約 30,000 個以下の精子数では受精率が大きく減少。 / Credit:近藤 湧生(大阪公立大学)_メダカのオスはメスとの産卵行動を1日平均19回できるが、放精数と受精率は回を重ねるほど激減(2025)

加えて、産卵行動の回数を重ねるごとに、オスがメスを追いかける行動(求愛行動)の時間や回数も減少しました。

一方で、メスは1日1回しか産卵しないにも関わらず、精子が枯渇したオスと産卵行動をした場合でも産卵数を減らさず、産卵可能な卵を全て放出していました。

つまり、オスの精子が枯渇していたとしても、メスは産卵行動を拒否したり、産卵数を調整したりしないのです。

こうした傾向は、オスの精子が有限で、貴重なメスの卵が無駄になりやすいこと示しています。

もちろん、自然環境ではエサや配偶者を見つける点で制約があるため、実際の産卵回数はもっと少なくなるはずです。

オスとメスの個体数によっても大きな違いが生じるでしょう。

それでも今回の研究は、「精子が有限である」というこれまで見過ごされがちだった視点を提供しました。

他の動物と比べて、メダカは確かに「絶倫」と言えるかもしれません。

それでも精子の数には限界があるため、何回も射精できても繁殖においてはあまり意味がないようです。

そう考えると、なぜ27回も頑張るメダカがいるのか謎が深まります。

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参考文献

メダカのオスはメスとの産卵行動を1日平均19回できるが、放精数と受精率は回を重ねるほど激減
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-15120.html

元論文

Male medaka continue to mate with females despite sperm depletion
https://doi.org/10.1098/rsos.241668

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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