「車から異音がするけれど、いったいどの部分から聞こえているのか分からない」
「鳥の鳴き声が響いているのに姿が見つからない」
こんな経験をしたことがある人は多いはずです。
こうした「音の位置が分からない」というもどかしさを解消するために、ドイツの企業「CAE Software & Systems」は、スマートフォンに装着して音の発生源を可視化できるデバイス「SoundCam Go」を開発しました。
目次
- SoundCam Goの音を“見る”仕組み
- 「音の可視化」は、生活から調査まで幅広く役立つ
SoundCam Goの音を“見る”仕組み
SoundCam Goは、音の位置を画面上で可視化するために「マイクアレイ技術」を利用しています。
本体には72個のデジタルMEMSマイクが円形に配置され、同時に音を拾うことで、どの方向からどれくらいの強さの音が届いたかをリアルタイムに解析します。
この時、音が複数のマイクに届くわずかな時間差を読み取ることで位置を特定し、スマートフォンのカメラ映像に重ねて表示できるようになります。
画面には黄色や青、赤橙色の丸い光が現れ、光の色や大きさによって音の強さを直感的に理解できるようになっています。
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しかも、SoundCam Goは周波数100kHzまでの音に対応しており、人間の耳では聞こえない高周波の音にも反応します。
このため、コウモリの超音波や機械内部の高い周波数の振動音など、普段は気付きにくい音も視覚化できます。
デバイスは92グラムと軽量で、スマートフォンには磁石で装着する仕組みになっています。
操作モードには2種類があり、オートモードでは周囲のあらゆる音をまとめて表示します。
一方、スマートモードでは最も大きく目立つ音だけを選んで強調し、気になる異音を素早く見つけやすくなります。
では、このSoundCam Goは私たちの日常でどう役立つでしょうか。
「音の可視化」は、生活から調査まで幅広く役立つ
SoundCam Goの便利さは、日常生活のさまざまな場面に応用できる点にあります。
たとえば、壁のどこから水漏れが起きているのか分からないときに、音を視覚化することで、その原因を探すことができます。
また、電子機器や車の異音がどの部分から生じているのか確認したい場合にも、SoundCam Goが表示する光の位置が参考になるでしょう。
天井裏で動物が動いているような気配があるときにも、きっと役立つはずです。
さらに屋外では、上空を舞う飛行機やドローンの方向を調べたり、草むらの中に潜む小動物の気配を探したりするのに役立ちます。
ちなみに、デバイスはIP54の防塵防滴仕様で、多少の雨や埃がある場面でも使用できます。
スマートフォンの5000mAhバッテリーを用いた場合の稼働時間は約3時間で、消費電力は2.5Wです。
長時間使い続けることは難しいですが、最大のメリットはその手軽さです。
スマホとデバイスを携帯しておけば、特定の音の源を探したい時にすぐに役立つはずです。
現在、Kickstarterでは€749(約13万5000円)で提供されており、これは一般販売価格の50%オフの設定です。
これまで私たちは、「音は聞こえるけれど、どこだろう」という煩わしい気持ちを味わってきました。
しかし、SoundCam Goがあれば、そんな煩わしさを解消し、音を視覚化する体験を楽しめます。
参考文献
Smartphone-connected camera shows you the sources of sounds
https://newatlas.com/photography/soundcam-go-smartphone-acoustic-camera/
SoundCam Go – The First Acoustic Camera for Smartphones
https://www.kickstarter.com/projects/soundcam/soundcam-go-the-first-acoustic-camera-for-smartphones/description
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部

