このF1マシン、実は普通のマシンではありません。
なんとレゴを使って作られているのです。
2025年5月4日、アメリカ・マイアミで行われたF1マイアミグランプリのドライバーズパレードにて、観客の目を釘付けにしたのは、実物大の“レゴ製”F1マシンでした。
しかもこれは単なるオブジェではなく、実際にF1ドライバーたちが乗って走行した、動く車両なのです。
この衝撃的なビジュアルとパフォーマンスは、F1とレゴ・グループの公式パートナーシップにより実現されたもの。
世界で最もスピードと技術が求められる舞台に、レゴという玩具が堂々と登場したのです。
目次
- 1台あたり40万個のレゴでF1マシンを作るという挑戦
- F1ドライバーがハンドルを握る「レゴF1カー」10台が観客の前を走る
1台あたり40万個のレゴでF1マシンを作るという挑戦
レゴとは、1932年にデンマークで生まれたブロック玩具ブランドであり、今や子どもから大人まで幅広く愛されています。
小さな突起付きのブロックを組み合わせて、建物や乗り物、生き物などを作る「想像力を育てる玩具」として世界中で親しまれています。
しかし今回レゴが挑んだのは、単なるミニチュアではありません。
なんと実物大のF1カーをレゴブロックで作るという壮大なプロジェクトです。

この計画に参加したのは、レゴ社のデザイナーとエンジニア計26人。
彼らはアイデア出しから設計、試作、そして最終組み立てまでを担い、合計で22,000時間以上を費やしました。
使われたブロックの総数は、1台あたりおよそ40万個。

素材の一部には植物由来プラスチックなどの持続可能な原料も含まれています。
このマシンのデザインには、F1各チームの公式カラーとロゴも反映されており、レゴとF1の双方のブランドイメージを正確に表現した外観となっています。
では、このレゴはいったいどんな性能なのでしょうか。
F1ドライバーがハンドルを握る「レゴF1カー」10台が観客の前を走る

実物大とは言っても、レゴ製。
果たしてちゃんと走るのか?という疑問に対し、このマシンは堂々と答えてみせました。
完成したレゴF1カーの重量はおよそ1,500kg、そのうち1,000kgはレゴブロックです。
そして驚くべきことに、最高時速20kmで自走可能な機構を内蔵しています。
これは展示用模型ではなく、実際に人を乗せて走行する「機能を持った乗り物」として設計されているのです。

2025年5月4日、マイアミGPのドライバーズパレードでは、このマシンが本番の舞台に登場。
F1ドライバーたちがレゴ製マシンに乗って観客席前を走行し、拍手と歓声に包まれました。
10台のレゴF1カーが同時に走るという、まるで夢のような光景でしたが、すべてが事実です。
複数のF1ドライバーたちが同時にレゴカーのハンドルを握ったことも初めてであり、観客だけでなく、F1関係者やメディアからも「これまでにない演出」として大きな反響を呼びました。
また単にレゴを並べたのではなく、チームごとのロゴや色までを忠実に再現していたことで、その完成度の高さが大いに評価されました。

このプロジェクトはマイアミだけにとどまらず、今後もF1シーズン中の別会場で展示や走行が予定されているとの発表もありました。
まさにレゴとF1の“動く広告塔”といった存在になりつつあります。
そして何より、この取り組みは「レゴは子どもの玩具にとどまらない」という新たな価値を世界に示しました。
技術の象徴であるF1の舞台に、創造性の象徴であるレゴが登場することで、誰もが“遊び”と“ものづくり”の可能性を再発見したのです。
ひとつの玩具から生まれた、世界最高峰の舞台でのパフォーマンス——それはまさに、遊び心と技術が融合した奇跡の瞬間でした。
参考文献
Racing History! The LEGO Group and Formula 1® take over the Miami Grand Prix with 10 fully drivable LEGO® cars with F1 race drivers at the wheel
https://www.lego.com/ja-jp/aboutus/news/2025/may/lego-f1-drivers-parade
full-size F1 cars made of LEGO bricks drive around miami grand prix
https://www.designboom.com/technology/full-size-f1-cars-lego-bricks-drives-miami-grand-prix-05-06-2025/
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部