「人によって恋愛の仕方は違う」とはよく言われることですが、明確にどのようなタイプがあるのかは定義されていません。
しかしオーストラリア国立大学(ANU)の研究チームは今回、世界最大規模の恋愛に関する調査データをもとに、恋愛関係のスタイルを分析。
その結果、カップル間の恋愛関係は、恋愛感情の強さや執着度、週あたりの性行為の頻度などで、4つのタイプに分類できることが明らかになりました。
みなさんはどのタイプに属するでしょうか?
研究の詳細は2025年2月27日付で学術誌『Personality and Individual Differences』に掲載されています。
目次
- 恋愛関係は何で成り立っているのか?
- 恋愛関係の4タイプが明らかに
恋愛関係は何で成り立っているのか?
「一目惚れする人」と「じっくり恋愛する人」、「恋愛に夢中になりすぎる人」と「冷静な人」—これらはすべて異なる恋愛スタイルを持つ人々です。
これまでの研究では、恋愛にはさまざまな要素が関与していることが示されてきました。
例えば、心理学者のロバート・スターンバーグが1986年に提唱した「愛の三角理論」によると、恋愛は「親密さ」「情熱」「コミットメント」の3つの要素から成り立っているとされています。
親密さとは、恋人同士が互いに親しみ合い、愛着を感じる程度のこと。
情熱とは、恋人間で感情的な刺激や肉体的魅力を求める程度のこと。
コミットメントとは、相手と関係を持とうとする意識的な決断のことで、相手に忠実であることを約束したり、困っていたらサポートしようとする程度のことです。

しかしこの理論では、具体的に人々の恋愛がどのように異なるのか、すなわち、恋愛関係にはどんなタイプがあるのかまでは明確に分類されていません。
そこで研究チームは今回、人々の恋愛の特徴をクラスター分析(=タイプ別に分類する)という統計手法を用いて詳細に調査しました。
恋愛関係の4タイプが明らかに
本調査では「ロマンティック・ラブ・サーベイ2022(Romantic Love Survey 2022)」という世界最大規模の恋愛に関するデータを使用しました。
この調査には18〜25歳の若年成人1556人が参加しており、そのうち現在恋愛中の809人のデータを今回の分析対象としました。
ここには33カ国のさまざまな文化的・民族的背景を持つ人々が含まれています。
研究チームは、恋愛の特徴を測る4つの指標
1:恋愛感情の強度
2:恋人への執着度
3:恋愛関係へのコミットメント
4:週あたりの性行為の頻度
をもとにクラスター分析を行い、恋愛のスタイルを分類しました。
その結果、次の4つの恋愛タイプが存在することが明らかになりました。
1. 穏やかな恋愛タイプ(Mild Romantic Lovers)
・全体の20.02%を占める。
・恋愛感情の強度、恋愛関係への執着度、恋人へのコミットメント、性行為の頻度のすべてが最も低い
・恋愛経験は多いが、1つの恋愛が短期間で終わる傾向がある
・男性の割合が多く(58.64%)、内向的な性格が特徴的
2. 適度な恋愛タイプ(Moderate Romantic Lovers)
・全体の40.91%(4タイプの中で最も多いグループ)
・恋愛感情、執着度、コミットメント、性行為の頻度、すべての指標が平均的で「普通の恋愛」タイプ
・一般的な恋愛スタイルで、特に際立った恋愛の特徴を示さない最もオーソドックスなタイプ
3. 性欲旺盛な恋愛タイプ(Libidinous Romantic Lovers)
・全体の9.64%(4タイプの中で最も少ないグループ)
・恋愛感情・執着度・コミットメントが高く、性行為の頻度が週10回以上と非常に多い
・またこのタイプには、旅行好き、浪費傾向、喫煙率が高いなどの特徴が見られた
4. 熱烈な恋愛タイプ(Intense Romantic Lovers)
・全体の29.42%
・恋愛感情・執着度・コミットメントが最も高く、情熱的な恋愛をする
・交際が始まる前から恋に落ちていることが多く、”恋に狂ったタイプ”と研究者は指摘する
・唯一、男性よりも女性の割合(60%)が多かった
さて、みなさんはどの恋愛タイプに最も近いでしょうか?

恋愛は人生において大きな影響を与えるテーマです。
今回の研究は「恋愛の仕方には個人差があり、それが大きく見ると4つのカテゴリーに分類できる」ことを示しました。
この研究が進めば、恋愛関係の持続性や幸福度に関するさらなる知見が得られるかもしれません。
また、カップルの恋愛タイプを理解することで、パートナーシップの向上につながる可能性もあります。
あなたの恋愛スタイルを知ることで、より良い恋愛関係を築くヒントが見つかるかもしれません。
参考文献
Hot, heavy love: if you’re having that much sex, you might be a ‘libidinous’ lover, according to science
https://reporter.anu.edu.au/all-stories/hot-heavy-love-if-youre-having-that-much-sex-you-might-be-a-libidinous-lover-according-to-science
元論文
Variation exists in the expression of romantic love: A cluster analytic study of young adults experiencing romantic love
https://doi.org/10.1016/j.paid.2025.113108
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部