「愛してるよ」のひとことより、洗い物をサッと片づける。
恋愛関係で女性がより強く評価するのは、実は「甘い言葉」よりも「甘い行動」であることが示されました。
中国・西南大学(SWU)の最新研究により、女性は恋愛関係において、パートナーの「手伝う・世話を焼く」といった具体的な行動を、「愛してる・かわいいね」といった甘い言葉かけよりも一貫して高く評価することが判明したのです。
「甘い言葉はいいから、具体的にあ行動で示してくれ」と思っている女性は多いのかもしれません。
研究の詳細は2025年5月10日付で科学雑誌『Evolutionary Psychological Science』に掲載されています。
目次
- 研究が明らかにした「甘い言葉」と「甘い行動」の差
- なぜ女性は「甘い行動」を強く評価するのか
研究が明らかにした「甘い言葉」と「甘い行動」の差
研究チームは、恋愛科学で重視される「理想のパートナー像」の中核である「温かさ(warmth)」と「信頼性(trustworthiness)」に注目。
過去の研究では、見た目の魅力や地位などの“大きな属性”も恋愛関係に強く影響することが示されていますが、これらは短期には変えにくい特徴です。
そこで本研究は、日常のなかで比較的調整しやすい“ふるまい”に着目し、「甘い言葉(例:愛してる/君が恋しいよ/わかっているよ)」と「甘い行動(例:家事や用事を手伝う、食事を作る、細やかな気遣い)」を直接比較しました。

実験はオンラインで募集した異性愛の中国人成人513人を対象に、次のような実験結果が見られました。
-
Study 1:ストレスの多い一日のあとに「言葉で慰める」vs「洗濯をしてくれる」といったシナリオを提示し、どちらが望ましいか評価。結果、女性の方は一貫して「甘い行動」をより望ましいと評価する傾向がみられました。
-
Study 2:プロフィール比較(言葉が得意な相手 vs 行動が得意な相手)。女性は行動型の相手をより「温かく信頼できる」とみなし、交際開始の候補として選びやすいことが示されました。男性は差が小さく、強い傾向はみられませんでした。
重要なのは、参加者自身の“ふだんの愛情表現スタイル(言葉派か行動派か)”には、男女差がほとんど見られなかった点です。
つまり観察された性差は、単に「自分がやるから相手にもそれを求める」という鏡写しでは説明できません。
むしろ、相手を温かく信頼できると感じる“受け取り方の違い”が、好みの差につながっていると解釈されます。
なぜ女性は「甘い行動」を強く評価するのか
チームは、進化心理学の観点から以下の仮説を立てていました。
女性はパートナーの信頼性や投資意志(時間・労力を2人の関係に注ぐ姿勢)を示す手がかりに敏感であり、それが長期的な安定や共同育児の成功に関わるからです。
いっぽう男性は、初期段階では即時的な情緒的/性的関心のサイン(言葉による好意の明瞭な表明など)に反応しやすい可能性があります。
結果は、この理論的予測と整合的でした。
ここでのポイントは、「甘い行動」が努力を伴い、偽装しにくいということです。
言葉は強い情緒的効果を持ちますが、一方で、実際には思っていないことを口にするなど、偽装が可能です。
これに対して「食事を作る、タスクを肩代わりする、スケジュールを調整して会いに来る」といった行動は、実際に時間や労力を伴うものなので、恋愛パートナーにとって温かさや信頼できるサインとして映りやすいのです。

実生活への落とし込み
-
最初は「小さな行動」を積み上げる
大げさな演出や高価な贈り物でなくて大丈夫です。忙しい日にお茶をいれる、帰宅前に必要な日用品を買っておく、重い荷物を自然に持つ――こうした「小さな投資」が、言葉以上に相手の温かさ・信頼性を伝えます。 -
言葉と行動の“整合性”を意識する
「いるよ」と言いながら肝心なときにいない、という不一致は信頼性を大きく損ないます。言葉を補強する形で行動を添えるのが効果的です。つまり、言ったことは行動に移すことが大事です。
男性陣の皆さんは、甘いささやきよりも具体的な行動で示すことで、女性パートナーの行為や信頼を得られるかもしれません。
参考文献
Study finds women tend to favor sweet actions over sweet words in romantic partners
https://www.psypost.org/study-finds-women-tend-to-favor-sweet-actions-over-sweet-words-in-romantic-partners/
元論文
Who Favor Sweet Actions over Sweet Words More – Females or Males?
https://doi.org/10.1007/s40806-025-00431-9
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部