夜型は不安や孤独感が強く「あるもの」に依存しやすくなっていた

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あなたは朝型ですか?それとも夜型ですか?

学校や職場のリズムにどうしても合わず、夜になると頭が冴えわたる――そんな「夜型タイプ」の人は、世の中に少なくありません。

ところが最近、英ポーツマス大学(UOP)の最新研究によって、夜型タイプは、そうでない人と比べて不安や孤独感を感じやすく、スマホやSNSへの依存に陥りやすいという結果が発表されました。

なぜ夜型の人は、スマホやSNSにのめり込んでしまうのでしょうか?

その背後には「眠れぬ夜」と「心の孤独」が密接に関係していることが明らかになってきました。

研究の詳細は2025年9月12日付で学術誌『PLOS ONE』に掲載されています。

目次

  • 夜型が抱える「孤独」と「不安」、社会のリズムから外れる苦しみ
  • スマホ依存の“落とし穴”、心の隙間を埋めるはずが逆効果に?

夜型が抱える「孤独」と「不安」、社会のリズムから外れる苦しみ

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Credit: canva

まず、夜型タイプの人々がどのようなリスクを抱えているのか、研究の発表内容から見ていきます。

ポーツマス大学の研究チームは今回、18~25歳の若者407人を対象に、生活リズム(朝型・夜型)とスマホ・SNSへの依存傾向の関係を調査しました。

その結果、夜型タイプの若者は、

・「スマホが手元にないと不安になる」
・「通知が来るたびに強迫的にチェックしてしまう」
・「SNSの利用が日常生活に支障をきたしている」

といった問題的なテクノロジー利用に、朝型よりもはるかに陥りやすいことが判明しました。

さらに重要なのは、その背景に「強い孤独感」と「不安感」が横たわっていたことです。

夜型タイプの人は、学校や職場など社会全体の“標準リズム”からズレがちで、昼間に周囲と活動時間を合わせづらい傾向があります。

そのため、

・人との交流が減りやすい
・疎外感や社会的孤立を感じやすい
・夜遅い時間には頼れる相手がいなくなり、孤独が深まる

という状態になりやすいのです。

実際、研究者たちは「夜型傾向の強い若者ほど、社会的な“時差ボケ”状態になりやすく、そこから生じる孤独感や不安感が深刻になりやすい」と指摘しています。

この「社会のリズムから外れるストレス」と「心の不安・孤独」は、夜型タイプの人たちの生活に、静かに、しかし確実にダメージを与えていたのです。

スマホ依存の“落とし穴”、心の隙間を埋めるはずが逆効果に?

では、なぜ夜型の人ほどスマホやSNSにのめり込んでしまうのでしょうか。

研究によれば、夜型タイプの若者は、「不安」や「孤独」を紛らわせるためにスマートフォンやSNSに頼る傾向があることが分かっています。

たとえば、

・眠れない夜、手持ち無沙汰でSNSを開く
・寂しさを感じたときに、誰かの投稿やメッセージを求めてスマホを手に取る
・通知が来るたび「誰かとつながれるかもしれない」と期待してしまう

一時的には、スマホやSNSを使うことで気分がまぎれるかもしれません。

しかし、そこには「悪循環」が潜んでいます。

研究者は「夜型の若者が心の寂しさを埋めるためにテクノロジーを利用すると、かえって孤独感や不安感が強まってしまうケースが多い」と警告します。

実際、

・スマホやSNSに頼りすぎると、リアルな人間関係がますます希薄に
・依存的な使い方が続くことで、学業や生活の質が低下
・スクリーンタイムが増えることで、睡眠の質も悪化し、さらに心身の不調が深まる

という負のスパイラルが生まれるのです。

この「心の隙間を埋めるためのスマホ利用」が、知らず知らずのうちに「心の傷口を広げてしまう」――それが現代型依存の怖さなのです。

スマートフォンやSNSは、私たちの生活に欠かせない便利なツールです。

しかし、不安や孤独を癒す“心の薬”ではありません。

特に夜型タイプの人々にとっては、「社会とのズレ」や「心の孤独」を抱える中で、スマホやSNSが危険な慰めとなりやすいというリスクが、今回の研究で明らかになりました。

研究者たちは「依存を防ぐには、単にスマホの利用時間を減らすだけでなく、不安や孤独感そのものにアプローチする支援が重要」と指摘しています。

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参考文献

New study finds loneliness and anxiety fuel smartphone and social media addiction in ‘night owls’
https://www.port.ac.uk/news-events-and-blogs/news/new-study-finds-loneliness-and-anxiety-fuel-smartphone-and-social-media-addiction-in-night-owls

元論文

Mechanisms that link circadian preference to problematic smartphone and social media use in young adults
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0331961

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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