「食物繊維を摂れば便秘は治る」と思っていませんか?
しかし最新研究によると、単に食物繊維の多い食事だけでは、長年便秘に悩む人々を本当に救うことはできないかもしれません。
そんな中、私たちの日常でも身近な「あるフルーツ」が、便秘解消に驚くほど高い効果を持つことが、英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)により科学的に示されました。
そのフルーツとは「キウイ」です。
キウイフルーツが、“便秘改善の救世主”となるかもしれません。
研究の詳細は2025年9月1日付で科学雑誌『Journal of Human Nutrition and Dietetics』に掲載されています。
目次
- 食物繊維だけでは解決しない「慢性便秘」の現実
- キウイフルーツの実力と新たな食事ガイドライン
食物繊維だけでは解決しない「慢性便秘」の現実
便秘に悩む人が医師に相談すると、ほぼ必ず「もっと食物繊維を摂りましょう」とアドバイスされる時代が長く続いてきました。
ところが最新の調査では、この“常識”に揺らぎが生じています。
専門家たちは、75件以上の臨床試験データを精査し、「本当に効果がある食事療法は何か」を徹底的に検証しました。
その結果、驚くことに「ただ食物繊維の多い食事を摂るだけでは、慢性的な便秘を根本的に改善できるという十分な証拠はない」と結論づけたのです。
実際、従来型の“高食物繊維食”やセンナ(便秘薬の一種)サプリメントについては、効果を示す強いエビデンスは認められませんでした。
これは、食物繊維が健康全般には良い影響をもたらす一方で、「慢性的な便秘」の解消には十分な結果が得られない可能性を示しています。
では、何が有効なのでしょうか?
キウイフルーツの実力と新たな食事ガイドライン

今回の研究で特に注目を集めたのが、キウイフルーツです。
キウイは、食物繊維だけでなく、腸の動きを助ける酵素や、豊富な水分、特有のオリゴ糖など、複合的な働きが期待できるフルーツです。
ガイドラインでは「キウイフルーツの摂取」が、便秘改善に対して科学的に有効と認められました。
同時に、ライ麦パン、ミネラル分の多い水、サイリウム(オオバコ)由来の食物繊維サプリメント、特定のプロバイオティクス菌株、酸化マグネシウムサプリメントも推奨されています。
特にキウイは1日2個程度を2週間食べ続けることで、排便回数や便のやわらかさが明らかに改善したという報告もあり、「便秘解消のための果物」として世界的に注目度が急上昇しています。
また、今回のガイドラインは「個人の症状に合わせたパーソナライズドケア」を重視しており、単に繊維量だけを見るのではなく、排便回数、便の硬さ、いきみの程度、生活の質など、多角的な指標を元に最適なアドバイスができる点も大きな特徴です。
チームは、「これまでの常識にとらわれず、新しい食事戦略を柔軟に取り入れること」が大切だと強調しています。
参考文献
Constipated? Try kiwis.
https://www.popsci.com/health/relieve-constipation-kiwis/
Kiwis could help manage chronic constipation
https://www.eurekalert.org/news-releases/1101379?
元論文
Dietary management of chronic constipation: a review of evidence-based strategies and clinical guidelines
https://doi.org/10.1017/S0029665125100694
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部