ラーメンの食べ過ぎで「死亡リスクが高まる人」の特徴が判明

健康

今や日本人の国民食ともいえるラーメン。

週末のご褒美に食べる人もいれば、仕事帰りにふらっと立ち寄る習慣のある人も多いでしょう。

そんなラーメンについて、山形大学と山形県立米沢栄養大学の研究チームが驚きのデータを発表しました。

6,700人以上を対象にした大規模調査の結果、「ラーメンを週3回以上食べる人」で死亡リスクが高まる傾向があることが判明したのです。

特に男性や70歳未満の人、スープをたっぷり飲む人やお酒をよく飲む人では、そのリスクが顕著に表れていました。

研究の詳細は2025年の科学雑誌『The Journal of Nutrition, Health and Aging』に掲載されています。

目次

  • ラーメン一杯に含まれる塩分量は?
  • ラーメン食べ過ぎで死亡率が高まる条件とは?

ラーメン一杯に含まれる塩分量は?

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Credit: canva

今やラーメンは日本国内でうどんやそばを上回る人気を誇る麺類ですが、その一杯には平均で5〜6グラム以上の食塩が含まれていると言われます。

厚生労働省が示す1日の塩分摂取目標値(男性7.5g未満、女性6.5g未満)と比較すると、ラーメン1杯だけでほぼ1日分に近い量を摂取してしまう計算になります。

塩分の過剰摂取は高血圧や脳卒中、胃がんなどを引き起こす要因として知られており、食文化としての親しみやすさと健康リスクが常に隣り合わせにあるのです。

そこで研究チームは、山形県で実施されている「山形コホート研究」のデータを用いて、ラーメン摂取の頻度と死亡リスクの関連を詳細に調査しました。

対象は40歳以上の地域住民6725人。

質問票でラーメンを食べる頻度を「月1回未満」から「週3回以上」まで4段階に分類し、その後約4年半にわたって追跡調査を行いました。

死亡者数や死因は死亡診断書から確認され、解析には年齢・性別・喫煙・飲酒・糖尿病・高血圧などの背景因子を考慮した統計モデルが用いられました。

ラーメン食べ過ぎで死亡率が高まる条件とは?

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調査の結果、ラーメンを頻繁に食べる人は若い男性に多く、喫煙や飲酒習慣がある人、高いBMIや糖尿病・高血圧を抱える人が目立ちました。

つまり、もともと生活習慣病リスクが高い人がラーメンをよく食べている傾向が見えたのです。

全体の解析では「週3回以上」食べる人の死亡リスクは1.52倍と高い傾向がみられましたが、統計的に有意な差とはなりませんでした。

ところが、細かくサブグループ(部分集団)を分析すると興味深い特徴が浮かび上がりました。

・男性:週3回以上の摂取でリスク増加。さらに月1回未満しか食べない群でもリスクが高いという逆の結果もあり、病気の影響でラーメンを控えていた可能性が示唆されました。

・70歳未満:週3回以上食べる群でリスクが2.2倍に有意に上昇。若い世代の方が1回の摂取量が多く、塩分過剰になりやすいと考えられます。

・スープを半分以上飲む人:死亡リスクが明確に高い傾向。スープには大量の塩分が溶け込んでいるため、摂取量が健康に直結しました。

・飲酒習慣がある人:週3回以上食べる群で死亡リスクが2.7倍に上昇。アルコールと塩分の組み合わせが体への負担を強めた可能性があります。

研究チームは、「ラーメンの食べ過ぎは特定の条件を満たす人にとって、確かに死亡リスクを押し上げる可能性がある」と結論づけています。

ラーメンは日本人にとって欠かせない食文化であり、完全に避ける必要はありません。

研究でも「週1〜2回食べる人のリスクが最も低い傾向」が示されており、楽しみとして食べる分には大きな問題はないと考えられます。

大切なのは、スープを飲み干さない、食べる頻度を控える、野菜や魚で栄養バランスをとるといった日常的な工夫です。

今回の研究は、「誰にとって、どんな食べ方がリスクになるのか」を具体的に示しました。

ラーメンの食べ過ぎは確かに危険ですが、それが直ちに危険につながるわけではありません。

私たちができるのは、賢く食べ方を選びながら、ラーメン文化をこれからも楽しむことなのです。

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参考文献

【プレスリリース】ラーメンの過剰摂取が一部の人々の死亡リスクを高める可能性——山形コホート研究より
https://www2.id.yamagata-u.ac.jp/information/post-123.html

元論文

Frequent Ramen consumption and increased mortality risk in specific subgroups: A Yamagata cohort study(PDF)
https://www2.id.yamagata-u.ac.jp/Suzuki%20ramen2025.pdf

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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