映画『スター・ウォーズ』の名物キャラクターとして知られるチューバッカ。
そんなチューバッカを思わせるもふもふの新種サンゴが、西太平洋のハワイ沖とマリアナ海溝近くの海域で発見されました
学名は「イリドゴルギア・チューバッカ(Iridogorgia chewbacca)」と命名されています。
研究の詳細は2025年9月4日付で学術誌『journal Zootaxa』に掲載されました。
目次
- チューバッカみたいなサンゴを発見
- もふもふサンゴの正体と深海の多様性
チューバッカみたいなサンゴを発見
今回の発見は、米ハワイ大学マノア校(UH Mānoa)を中心とする国際研究チームによるものです。
新種のサンゴ「イリドゴルギア・チューバッカ(Iridogorgia chewbacca)」は、2006年にハワイ・モロカイ島沖の海底で初めて記録され、10年後の2016年にはマリアナ海溝付近でも目撃されました。
しかし初発見から学術的に新種と判定されるまでには、10数年の期間を要しています。
実際の画像がこちら。
このサンゴは、光沢のある長く柔軟な枝が特徴で、枝の先が“毛むくじゃら”のように見えることから、研究チームは「スター・ウォーズ」の人気キャラクター「チューバッカ」にちなんで命名しました。
枝の長さは最大約38センチにもなり、まるでもふもふの体毛をなびかせるチューバッカそのもの。
発見時、研究者は「これまで何年も深海調査をしてきたが、こんなサンゴは見たことがない」と、そのインパクトを語っています。
このサンゴが属するイリドゴルギア属は、長い螺旋状の構造を持つ深海サンゴの仲間で、西太平洋だけでも10種が確認されており、地域の多様性の高さも浮き彫りになりました。
もふもふサンゴの正体と深海の多様性
イリドゴルギア・チューバッカは、他の珊瑚と同様に「1匹の生き物」ではありません。
実際は、数千もの微小なポリプ(個虫)が協力し合って大きな“群体”を形成しています。
新発見された標本は高さ約1.2メートル、マリアナ海溝近くの個体は約50センチでしたが、どちらも他のサンゴ礁とは異なり、広大な岩場の海底にぽつんと単独で立っているのが特徴です。
こちらは新種サンゴの拡大した画像。
また、チューバッカサンゴは広い範囲で群れることはなく、単独で生息する点も独特です。
研究チームは、今回の新種発見にあたって形態だけでなく遺伝子レベルでも詳細に調査。
さらに、同時にもう一種の新種「イリドゴルギア・クルバ」も記載し、西太平洋に広がるイリドゴルギア属の多様性が改めて注目されました。
今回のチューバッカサンゴの発見は、長年研究されてきた太平洋の深海にも、まだまだ未知の世界とサプライズが眠っていることを示しています。
参考文献
New species of coral named after Chewbacca
https://www.popsci.com/environment/chewbacca-coral/
Chewbacca coral: New deep-sea species spotted in waters off Hawai‘i, Mariana Trench
https://manoa.hawaii.edu/news/article.php?aId=14141
元論文
Studies on western Pacific gorgonians (Anthozoa: Octocorallia: Chrysogorgiidae). Part 2: unexpected diversity of the genus Iridogorgia in the tropical western Pacific with descriptions of two new species
https://doi.org/10.11646/zootaxa.5689.3.3
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部