地球上の生命は本当に“偶然”生まれたのでしょうか?
イギリスのロンドン大学インペリアル・カレッジ(Imperial College London)で行われた研究により、数学的な視点から見ると、地球での生命の自然発生は非常に起こりにくい可能性が示唆されました。
研究では情報理論が駆使されており、最初の生命が誕生するために必要な「情報の積み上げ」が原始地球の環境で到達できる可能性が検討されました。
その結果、非常に特殊な介入や保護がなければ、生命活動を点火するための情報の積み上げがほぼ不可能であることが示されました。
偶然にまかせたランダムな化学反応だけでは、生命誕生に必要な『当たり』を引くことは現実的に不可能だったのです。
そのため論文では高度な知的生命体が意図的に生命の種を地球にまいたとする「指向性パンスペルミア説」についても触れられており、慎重な姿勢は維持しつつも論理的にあり得ると述べられています。
果たして地球の生命は本当に地球産なのでしょうか?
研究内容の詳細は2025年7月24日に『arXiv』にて発表されました。
目次
- 生命誕生に至るには「情報の積み上げ」が必要
- 数学的に考えると地球で自然な生命誕生は難しい
- 地球生命はエイリアンに由来するとする「指向性パンスペルミア説」
生命誕生に至るには「情報の積み上げ」が必要

「私たちはどこから来たのか?」――この問いは、人類が何千年もの間抱いてきた根源的な謎です。
古代から現代まで、多くの人々がこの謎に挑んできましたが、いまだ完全な答えは見つかっていません。
なぜなら、地球上に初めて生命が現れた瞬間を直接見ることはできないからです。
しかし科学者たちは、この難問に一つの仮説を立てています。
それは、地球上の最初の生命は、約40億年前の地球の海にあった「原始のスープ」と呼ばれる海水から生まれた、というものです。
「原始のスープ」とは、生命の材料になる色々な種類の有機物が混ざり合った、いわば「命の素となる化学物質のスープ」です。
実際、1950年代に行われた有名な実験では、地球が誕生したころの大気の状況を実験室で再現し、そこに電気を放電することで、アミノ酸という物質を作り出すことに成功しました。
アミノ酸は、タンパク質という生命活動に欠かせない分子を構成する重要な材料です。
こうした実験から、科学者たちは生命の材料そのものは比較的簡単に作られるのだと考えるようになりました。
しかし、材料があるだけで生命が生まれるわけではありません。
例えば、プラモデルの部品を全部箱から出して並べただけでは、自然に完成品ができあがらないのと同じです。
生命も、それぞれの材料が偶然うまく組み合わさり、細胞という複雑で高度な「秩序あるシステム」になる仕組みが必要なのです。
ですが、この仕組みが具体的にどのようにして自然にできたのかということは、今でもまだ謎のままなのです。
このため、科学者の間で重要なテーマとなっているのが、「自然発生」という考え方です。
自然発生(abiogenesis:アビオジェネシス)とは、「生命がもともと生命でない物質から自然に誕生する」という現象を指します。
現在のところ、生命は必ず他の生命から生まれることが確認されています。
例えば、人間も動物も、微生物さえも、すべて親となる生命から生まれています。
ですから、生物学者や化学者がどれほど努力しても、試験管の中で完全な生命をゼロから生み出すことには、まだ成功していません。
なぜ自然発生は難しいのでしょうか?
それは、自然界では放っておけば「無秩序」が増えてしまう傾向があるからです。
この性質を「エントロピーの増大」と呼びます。
部屋を片付けず放置すればどんどん散らかっていくのと同じように、物質の世界でも、特別な力が働かなければ、秩序(整った状態)は徐々に崩れていきます。
つまり、「原始のスープ」のような混沌とした環境から、秩序ある生命活動が偶然にも生まれるには、大きな壁(無秩序の壁)を乗り越える必要があるのです。
しかし、この壁を偶然だけの力で簡単に超えられるかどうかは、疑問が残ります。
無秩序な状態が秩序立った生命活動に変化するには、長い時間と、偶然を超えた何かしらの特別な仕組みが必要なのかもしれません。
そこで今回の研究者たちは、「そもそも偶然の力だけで生命は本当に生まれるのか?」という根本的な問いを数学的に調べようとしました。
偶然というランダムな出来事の中で、生命に必要な情報が蓄積される可能性を数学的に評価することで、科学的に許された時間(地球上で生命が誕生できると考えられる時間)に、本当に生命が自然に生まれるかどうかを調べたのです。
数学的に考えると地球で自然な生命誕生は難しい

偶然だけで、最初の生命は本当に生まれるのでしょうか?
この疑問を調べるため、研究チームはまず「生命誕生とは、どんなプロセスなのか?」という問いからスタートしました。
彼らは、生命が誕生する過程を「情報を積み上げる作業」と定義しました。
これは少し難しく聞こえるかもしれませんが、例を挙げて考えてみましょう。
たとえば、みなさんが何かを作るときは、材料だけを揃えても、それだけでは完成しませんよね。
プラモデルを組み立てるなら、正しい順番や設計図が必要になります。
同じように生命が誕生するためにも、単にアミノ酸や核酸といった「材料」があるだけでは足りません。
これらの材料を正しい順番で組み立てるための「設計図」や「手順」といった「情報」が必要なのです。
つまり、生命が生まれるとは、この「情報」が何億年という時間をかけて少しずつ蓄積されていくことを意味しています。
では、この最初の生命が誕生するのに必要な「情報」とは、いったいどれくらいの量なのでしょうか?
研究チームは、現在存在するもっともシンプルな生命をモデルとして、その情報量を計算してみました。
その結果、最初の生命(原始的な細胞)が生命活動を維持するのに最低限必要な情報量は、およそ「10億ビット」だと推定されました。
「10億ビット」と言われてもピンとこないかもしれませんが、これは生命という複雑な仕組みを作り出すために必要な、最低限の情報の量です。
この量を人間が使うコンピューターの情報に例えると、一般的なスマートフォンに入っている写真や音楽のデータを合わせたくらいの情報量に相当します。
生命という複雑な仕組みを作り出すためには、これほど膨大な情報が必要だということです。
しかしここで問題となるのは、「その情報を蓄積するのに、どれくらいの時間がかかるのか?」ということです。
地球が誕生してから、最初の生命が現れるまでに使える時間には限りがあります。
研究者たちは、地質学や生物学のさまざまな証拠から、この時間を約「5億年」と見積もりました。
地球が誕生したのは今から約45.1億年前のことです。
その直後、地球には「テイア」という火星サイズの天体が衝突し、その衝撃で月が形成されました。
この衝突によって地球表面はほぼ完全にリセットされたと考えられています。
さらに、その約4,000万年後には「モネタ」という別の大きな天体衝突が起き、再び地球の表面が大きく変化しました。
では、実際に生命はいつごろ地球に登場したのでしょうか?
現在の研究では、生命の最古の痕跡として、41億年前の炭素の同位体(少し性質が異なる炭素)や、約34.65億年前のオーストラリアの岩石に残された微生物の化石の証拠が知られています。
こうした証拠から考えると、生命が地球に登場するまでには約5億年という時間があったことがわかります。
(※この約5億年という時間は絶対的なものではなく、あくまでも生命が誕生するまでに与えられた「目安」として設定されたものです)
そして生命が地球に出現するには、この約5億年の間に、「10億ビット」という膨大な情報を積み上げていく必要があります。
では具体的に、これを計算するとどれくらいの速さで情報を蓄積する必要があるのでしょうか?
研究チームが計算した結果、5億年で10億ビットの情報を蓄積するためには、1秒あたりおよそ6.34×10^-8ビットという、とてもわずかな速度で情報を積み上げればいいことがわかりました。
これを1年間に直すと、約2ビットほどの非常にゆっくりしたペースになります。
つまり、理論的にはこの速さで少しずつ情報を蓄積していけば生命の誕生に必要な情報量に達することが可能です。
しかし現実はそれほど単純ではありません。
これはあくまで理想的に順調に情報が蓄積された場合の話であり、実際にはさまざまな困難があるのです。
原始のスープの中では、材料がランダムに衝突し合い、時にはせっかく積み上げられた情報がすぐに壊れてしまうことも考えられます。
こうした状況では、情報は3歩進んで2歩戻る、というように、なかなか前へ進みません。
これを研究者たちは、「バイアス付きランダムウォーク(多少は前に進む傾向があるランダムな動き)」というモデルでシミュレーションしました。
このモデルで特に重要になったのは、「情報が蓄積される速さ」と「蓄積された情報がどれくらい長く保たれるか(情報の維持時間)」の2点でした。
情報の維持時間が短ければ、せっかく積み上げられた情報もすぐに壊れてしまいます。
一方で、この情報がある程度長く保持できれば、次の情報を加えるときに有利になるはずです。
では、どのくらいの期間情報が維持されなければ生命が生まれるほどの情報量にならないのでしょうか?
シミュレーションの結果、分子の状態がわずか1秒でリセットされるような環境では、最初の生命が誕生するまでに宇宙の年齢の何兆倍も上回るほどの時間がかかってしまうことがわかりました。
また、1年ほど情報が維持されたとしても、生命誕生には現在の宇宙年齢の数百万倍という、とても長い時間が必要になってしまいます。
つまり、単純に偶然だけに任せていては、生命誕生に必要な情報が集まる可能性はほとんどない、という結果が示されました。
それでは、どのくらいの期間、情報を漏れないように保つことができれば生命の誕生が可能になるのでしょうか?
研究者が詳しく試算したところ、5億年という限られた時間の中で最初の生命に必要な情報を積み上げるためには、情報を約2.5億年という非常に長い期間保持する必要があることがわかりました。
しかし、混沌とした原始のスープの中で、このように長い期間、情報が崩れず安定して保たれることは極めて難しいと考えられています。
つまり、ある意味で、この「2.5億年が必要」とする結果は、原始のスープさえあれば運が良ければ生命が誕生するという既存の仮説に対する強烈なNOを突き付けているのです。
(※ランダム性の高い原始の地球で2.5億年も情報をコツコツと積み上げ続け、守り続けることは常識的に不可能だからです)
そこで、科学者たちは、生命誕生のためには、完全にランダム(偶然)な状態から一歩進んで、何らかの「偏り(少しだけ有利な条件)」が必要ではないかと考えました。
この偏りとは具体的にどのようなものでしょうか?
研究では、主に以下の3つの条件が挙げられています。
1つ目は、物理的・化学的な助けがあることです。
たとえば、細胞膜のような膜で仕切られた小さな空間があれば、情報が散らばるのを防ぐことができます。
また、昼と夜や乾燥と湿潤など周期的に繰り返す環境変化があると、情報が蓄積されやすくなります。
さらに、お互いが相手の生成を助け合うような分子のグループ(自己触媒ネットワーク)が生まれれば、互いに助け合いながら情報を守ることができます。
2つ目は、十分に長い「情報の保持時間」があることです。
これは情報がランダムに消えてしまう前に、次の一歩を踏み出せる時間的余裕を意味します。
3つ目は、生まれた有用な分子を保護:再利用する仕組みです。
偶然できた有用な分子がすぐに分解されたり、消えたりせずに、繰り返し蓄積される仕組みがあれば、長期的に情報を貯めていくことができます。
これらの条件が揃うと、生命誕生を前進させる反応が1億回に1回しか起きなくても、5億年の間に生命誕生に必要な情報を十分に蓄えることができると研究チームは計算しています。
しかし、ここでも新たな疑問が生じます。
「そもそも、このような3つのお助けシステムは、どこから来たのでしょうか?」
研究者たちは、こうした仕組みは自然に偶然生まれたのかもしれないが、それでも純粋に偶然だけに頼るのは非常に難しいと考えています。
原始のスープでは、情報が短期間で拡散してしまうため、生命誕生を支援するお助けシステムを構築することがそもそも困難であり、たとえ構築されたとしても、それらが生命誕生の瞬間(同じ時間に同じ場所)にある可能性はさらに低くなります。
さらにこの研究では、生命誕生のボトルネック(最大の障害となる要因)は、実は「材料となる分子の量やエネルギーの不足ではない」ことも明らかになっています。
彼らが計算したところ、当時の地球の海水中に存在した微量な有機分子(生命を構成する材料となる分子)は、ランダムな動き(拡散)によって十分な量が供給されていたことがわかりました。
例えば、直径が約1マイクロメートル(0.001ミリ)の小さな「原始細胞」があったとします。
その原始細胞は、海の中に浮かんでいて、周りにはたくさんの有機分子(生命をつくる材料になる小さな分子)が漂っています。
このとき、計算によると、1秒間に約20億個もの有機分子が偶然、この原始細胞にぶつかってくることになります。
一方で、生命が誕生するためには、この20億個の中から毎秒わずか10個ほどの「特別な分子」だけを取り込めれば十分だということが分かっています。
つまり、材料となる分子の数やエネルギーの量そのものは、十分すぎるほど豊富に存在していたのです。
しかし問題は、その膨大な分子の中から、「生命に役立つ特別な分子(情報をもった分子)」だけを効率よく選び出して取り込み、なおかつそれを壊れないように安定して長期間保つことが難しかった、ということなのです。
以上の結果をまとめると、地球に生命が誕生したのは単に材料やエネルギーが豊富だったというよりも、「情報を長く安定して保持する仕組み」があるかどうかのほうが遥かに重要ということになります。
つまり生命誕生の原動力は「情報の壁」をどのように乗り越えるかにかかっていたわけです。
地球生命はエイリアンに由来するとする「指向性パンスペルミア説」

今回の研究は、生命が自然に誕生することがどれほど難しいかを、数学的な視点からはっきりと数字で示したという点で、とても画期的です。
これまでの科学では、「生命が偶然に生まれるのは奇跡のようなものだ」と言われてきましたが、具体的な数字を使ってその難しさを説明することはあまりありませんでした。
ところが今回の研究では生命が誕生するための「情報」が積み上がる難しさを数学的に分析しました。
その結果明らかになったのは、「生命が誕生するためには、想像以上に高い『情報の壁』を越えなければならない」ということでした。
本を完成させるには、ただ紙とインクという材料があるだけでは不十分で、どのような順序で文字を並べるかという情報が必要です。
それと同じで、生命も材料(分子)が存在するだけでは足りません。
生命になるためには、それらの材料が非常に高度な順序や規則に従って組み合わさるための「情報」を蓄積する必要があります。
今回の研究では、この情報を自然の偶然な力だけで積み上げることは、数学的には非常に難しいということがわかったのです。
もちろん、今回の結果は「生命が自然に誕生することは絶対に不可能だ」と言っているわけではないということです。
むしろ、「生命が自然に誕生するためにはどのような条件が必要か」を数学的な視点で示せたことに大きな価値があります。
では、今回の研究結果を踏まえて、これからどのような研究が進んでいくのでしょうか?
研究チームは、「情報をどれくらい長く維持できるか(持続時間)」や、「分子がどれほど速く拡散するか(拡散の速度)」、さらには「原始のスープがどのくらい混沌としていたか(前生物的エントロピー)」といった要素をより詳しく測定することが必要だと指摘しています。
特に興味深いのは、「前生命システム」と呼ばれる、生物になる前の状態で、情報がどのように維持されていたのかを調べることです。
コラム:「前生命システム」とは何か?
私たちの体や身の回りにいる生物は、すべて細胞という小さな構造からできていますが、その細胞がどのように誕生したのかは大きな謎です。この謎を解き明かすヒントになるのが「前生命システム(prebiotic system)」という考え方です。前生命システムとは、「まだ生命とは呼べないけれど、生命が誕生する直前の段階にある物質や反応の仕組み」のことを指します。イメージとしては、料理をするときに材料を混ぜている途中の状態を考えてみてください。その段階ではまだ料理として完成していませんが、後の料理につながる大切なプロセスの一部です。前生命システムも同じで、生命が生まれる直前の、まだ生命とは言えないけれど、その前段階にあった物質や化学反応の状態を表しているのです。例えば、ある特定の物質が他の物質の反応を促進し、またその物質が元の物質の生成を促すという「自己触媒ネットワーク」と呼ばれる仕組みがあります。これは、まだ生命ではありませんが、まるで生物のように自己増殖を行うことが可能です。こうした前生命システムが一定の条件下で長期間安定すると、その中で徐々に複雑な物質のネットワークが形成され、最終的には生命の特徴を持つようになったのではないかと考えられています。つまり、前生命システムとは生命が生まれるための重要な中間ステップであり、このシステムがどのようにして安定したのかを調べることが、生命誕生の謎を解き明かす鍵となるのです。今回の論文のような研究では、数学的・理論的な方法で、この前生命システムがどのくらいの期間安定すれば生命へと進化する可能性があるのかを調べています。今後もこうした研究を進めることで、地球だけでなく宇宙の他の星での生命誕生の可能性についても新たな発見が期待されています。
例えば、複雑で無秩序な化学反応の中に、一定の規則性や安定したパターン(「アトラクター」と呼ばれます)が自然に現れることはないのか、ということが重要な研究テーマになります。
もし、ある特別な仕組みで化学反応が自然に安定していくのであれば、これまで考えられていたよりも、生命の誕生は「必然的」な出来事で、思ったより簡単に起こる可能性もあります。
つまり、偶然だけに頼るのではなく、「何らかの自然な仕組み」が働いていた可能性を探ることが今後の研究の大きなポイントになるでしょう。
このように、今回の研究は生命の起源という古くて難しい謎に対して、新たな切り口を示すとともに、未来の研究が目指すべき方向性を明確に示してくれました。
さらに、この研究の結果は、私たちにもう一つの大きな可能性を考えさせることにもなりました。
それは、「地球の生命は、そもそも地球の外からもたらされた可能性があるのではないか?」という考え方です。
このアイデアは少しSF(サイエンス・フィクション)のように聞こえるかもしれませんが、実は科学の世界でも「指向性パンスペルミア説」として真剣に検討されてきた仮説の一つなのです。
この仮説は、DNAの二重らせん構造を発見して有名になったフランシス・クリックらが提唱したもので、「高度に進化した宇宙の別の星の文明が、自分たちの星が絶滅しそうになったときや、科学的な興味のために、生命の種(微生物など)を地球のような惑星に意図的に送り込んだ可能性がある」と考えるものです。
エンドレス氏らの論文でも冒頭で、この指向性パンスペルミア説を「推測的(はっきりした証拠はないが、論理的にはあり得る)」な仮説の一つとして紹介しています。
ただし同時に、研究チームはこの仮説を慎重に扱うべきだと考えています。
なぜなら、生命の起源を高度な宇宙文明という未知の存在に求めてしまうと、説明が非常に複雑になってしまうからです。
こうした場合、科学の世界では「オッカムの剃刀」という原則が大切になります。
「オッカムの剃刀」とは、何かを説明するときには、なるべく単純な仮定を使って説明する方が良いという考え方のことです。
つまり、生命が自然に発生したという単純な説明で済む場合には、あえて複雑な宇宙人説を使う必要はない、ということです。
とはいえ、今回の研究は、「生命の起源」という長年の謎に対して、新しい光を当てました。
生命誕生の可能性を数学的に調べるというユニークな方法によって、この分野の研究は今後さらに深まり、私たちの存在についての理解も広がっていくことでしょう。
元論文
The unreasonable likelihood of being: origin of life, terraforming, and AI
https://doi.org/10.48550/arXiv.2507.18545
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部